S1:「『レアメタル』ってどこに入る?」 S2:「(教科書に)『金属』って書いてあるし自然科学か工業なんちゃう?」 S1:「でも『自動車などの生産に欠かせません』って書いてあるで。」 S2:「ほな,工業と産業に入れる?」 を経験したことがあったため,作業は比較的スムーズであった。 「分類ワークシート」にキーワードを書き出していくにあたり,子どもたちはキーワードの意味を考え,分類していた。どの分類に入るか迷う場合はグループの仲間に相談するよう指示していたため,グループ内でキーワードについての会話が多く生まれた。その一例を以下に示す。 上の会話からもわかるように,子どもたちはキーワードの意味を理解するために教科書を読み返しながら相談していた。また,分類する作業を通して,一つのキーワードが様々な分野に関連することに,子どもたち自身で気付く様子が見られた。更に,我先にとキーワードを探し出し,書き出していく様子や,他の子どもが見つけていない分類のキーワードがないかと探す様子も見られた。結果,たくさんのキーワードを意欲的に探すことにつながっていた。他にも,机間指導する授業者に「いっぱい書いたで」と自慢げに話し,枠が埋まっていくことで学習意欲が増す子どもの様子も見られた。 一方で「キーワードを抜き出せって言われても何を抜き出したらいいのかわからない。」とつぶやいている子どももいた。しかし,キーワードを分類する学習を繰り返し行うことで,どの地域にも共通して出てくるキーワードや,毎回キーワードが多く書きこまれる分類項目などから,地域の特色をとらえるにはどのような観点で,どのような事象に注目すればよいかを,子ども自身でつかむ事ができるのではないかと考える。 図3-5は,第3時,学校図書館での授業で「文学」の図書分類からアフリカ州に関する情報を集める子どもの様子である。子どもたちはそれぞれ,自 図3-5 むかし話の本からアフリカ州の情報を集める様子 分の担当する図書分類の書架へ行き,アフリカ州に関する情報を集めた。最初はタイトルに「アフリカ」という言葉が含まれる本を探す子どもがほとんどであったため,「本が ない」と途方に暮れる様子が多く見られた。そこで,「分類ワークシート」に書かれたキーワードを手掛かりに本を探すようアドバイスすると,「熱帯林」「砂漠」など,「分類ワークシート」に書き出したキーワードから本を見つけるようになった。「石油・天然ガス」などのキーワードから「エネルギー問題」や「環境問題」を連想して本を探す様子も見られた。また,「芸術」の図書分類から「アフリカの妖怪」についての情報を発見し,喜んで他の子どもたちに報告する子どもの様子も見られた。 第4時,学校図書館で集めた情報を学級全体で共有する際,図3-6のように分類ごとに情報カードをまとめたものを回覧した。 図3-7は,それらの情報を共有している様子である。他のグループが調べた情報を覗き込み「お姫様やって!昔,王様いたんやな。」「アフリカの家やって!これおもしろい!」など,興味をもって情報を読む様子が見られた。 図3-8は,学級の皆が図書館で集めた情報を個人の分類ワークシー トに書き足したものである。 た情報カード 情報を共有する様子 ※図中の枠は筆者による この分類ワークシートの記述には,教科書には記載されていない内容(図中枠内)が多く見られる。その一部を次に示す。 図3-8 図書館で集めた情報が含まれた分類ワークシート 中学校 図書館教育 12 図3-6 分類ごとにまとめ図3-7 分類ごとにまとめた
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