001総教C030705H27最終稿(菊谷)
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護推進審議会答申(以下,「審議会答申」という)の中で,「自分の人権のみならず他者の人権についても正しく理解し,その権利の行使に伴う責任を自覚して,人権を相互に尊重し合うこと,すなわち,人権の共存の考え方ととらえるもの」(4)と定義されている。 また,審議会答申では,学校における人権教育についても明記されている。そこでは,「人権の意義やその重要性について正しい知識を身に付けるとともに,日常生活の中で人権上問題のあるような出来事に接した際に,直感的にその出来事はおかしいと思う感性や,日常生活において人権への配慮がその態度や行動に現れるような人権感覚を身に付けること」が必要であるとされている。 このように,児童生徒の発達段階に応じた様々な体験や経験を通して,自分の人権とともに,他者の人権を認め,守ることのできる児童生徒の育成が求められているのである。そのために,指導者は,人権尊重の理念について十分に理解し,児童生徒が自らの大切さと,他者の大切さのどちらも実感し,求めることができるような環境づくりに努めなければならない。また同時に,指導者は自らの言動が,児童生徒の心身の発達や人格形成に大きな影響を及ぼし,豊かな人間性を育成する上で重要な意味をもっていることを自覚して,日々の教育活動に当たるよう,常に意識をしておくことも重要なことであると考える。 (2) 人権教育推進の流れ 我が国では,先の世界大戦の反省に基づき,基本的人権の尊重を基本理念の一つとする日本国憲法が,昭和21(1946)年11月に公布,昭和22(1947)年5月に施行された。この憲法の下で,その後も次々と人権に関する諸制度の整備や諸施策の推進が図られてきている。このような流れは日本だけ限られたものではなく,世界の多くの国々で同じような取組がすすめられている。 昭和23(1948)年に国連総会において採択された世界人権宣言には,「人類の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利を承認することこそ,自由,正義及び平和の基礎である」(5)と明記されている。この世界人権宣言の採択を契機に,日本はもとより,世界の様々な国で人権保障のための努力が重ねられてきている。 右上の表1-1は,日本国内及び国連等における人権や人権教育に関する主な条約・法律をまとめたものである。 [第一次とりまとめ]」 [第二次とりまとめ]」 [第三次とりまとめ]」 日本 連10年」に関する国内計画」策定 人権擁護推進審議会答申 の推進に関する法律」 る基本計画」 等の在り方について等の在り方について等の在り方について国際人権関係諸条約 (条約は採択された) 「国際連合」成立 「国連人権委員会」設置 「世界人権宣言」 「児童の権利に関する宣言」 「教育における差別待遇の防止に関する条約」 国際人権年 国際平和年 「児童の福祉に関する条約」 国際識字年 世界人権会議(ウィーン) 「人権教育のための国連10年」決議 「人権教育の10年行動計画」 人権教育のための国連10年 (1995~2004) 「人権教育のための世界計画」 「人権教育及び研修に関する国連宣言」 表1-1 日本国内及び国連等における人権教育に関する 主な条約・法律 (法律は施行された年) 1945 1946 1947 「日本国憲法」 「教育基本法」 1948 「学校教育法」 1956 「国際連合」加入 1959 1960 1967 1986 1989 1990 1993 1994 1995 1997 「「人権教育のための国1999 2000 「人権教育及び人権啓発 2002 「人権教育・啓発に関す2004 「人権教育の指導方法2006 「人権教育の指導方法2008 「人権教育の指導方法2013 人権教育 2

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