② 担任:3年生,準備はいいですか。 この事例は,①説明する⇒②指示するという流 ② 児童:(ペア学習) ③ 担任:相手意識もってください。ノートは,自分 この事例は,①指示する⇒②児童の活動⇒③指今日は,3年生の国語の勉強で,1年生を招待して発表会をします。内容は,楽しみにしていてくださいね。きっと,楽しいことがいろいろわかりますよ。 図3-17 3年 国語 発表会に向けての指示の場面 ① 担任:(1年の児童に向けて)今日は,3年生の 国語の勉強で,1年生を招待して発表会を します。内容は,楽しみにしていてくださ いね。きっと,楽しいことがいろいろわか りますよ。 張り切って大きな声を出し過ぎると,お隣 の人が聞こえなくなるから,目の前の1年 生にだけ届くくらいの声の大きさでお願い します。 説明する 全体 ここでは,以下のようなやり取りがあった。 れになっている。 国語の授業で,3年生が学校の様々な行事について調べたことについて,1年生を招待して発表するという授業である。 この日の3年生の児童は,1年生が教室に来る前から普段の様子とは違っていた。学級担任の説明や指示の最中も,「どうしよう。」「練習できてへんし,大丈夫かな。」などと心配している児童や,緊張している様子で話を聞いていない児童が数名いた。1年生が教室に訪れて,本時のねらいを確認した後,本時の発表会がねらいに即した活動になるように,学級担任が3年生の児童に向けて指示を出している。 下線部に示した「大きな声を出し過ぎると,お隣の人が聞こえなくなるから」という学級担任の発言は,学級の児童の状態を観察し,その後の児童の姿を予測して出された指示である。 児童はその後,2.3人のグループに分かれて調べてきたことを発表していたが,他のグループの3年は,準備はいいですか。張り切って大きな声を出し過ぎると,お隣の人が聞こえなくなるから,目の前の1年生にだけ届くくらいの声の大きさでお願いします。 指示する 全体 発表に支障をきたすような大きな声で発表している児童は全くなかった。 「お隣の人が聞こえなくなる」という意識をもつことは,他者を意識することである。自分の行動が他者にどのように影響するかを考え,両者が気持ちよく活動できるようにすることは,「自分の大切さとともに,他の人の大切さを認めた」行為である。つまり,これも事例Ⅸのように,児童に相手意識をもち,それをどのように行動化するかを具体的に伝えていることがわかる事例である。 〔事例Ⅺ〕 図3-18は,6年 算数:ペア学習の場面である。 ここでは,以下のようなやり取りがあった。 示するという流れになっている。 これは,ペア学習をしている際に,学級の児童全員に向けてかけられた発言である。 下線で示した「相手意識をもって」という発言は,本時の活動のねらいに迫るための指示である。二重下線の「ノートは,自分だけが見るんじゃなくて」という発言によって,児童の行動の問題点を指摘し,点線で示した「『こう考えた』っていうでは,1問ずつ,隣の人と確認していきましょう。確認するときには,抜けていることがないか,もし,抜けていることがあれば,「これ付け加えて」って言ってあげてください。 相手意識をもってください。ノートは,自分だけが見るんじゃなくて,「こう考えた」っていうことを示しながら説明してください。 図3-18 6年 算数 ペア学習の場面 人権教育 22 ① 担任:では,1問ずつ,隣の人と確認していきましょ う。確認するときには,抜けていることが ないか,もし,抜けていることがあれば 「これ付け加えて」って言ってあげてくだ さい。 だけが見るんじゃなくて,「こう考えた」っ ていうのを,ノートを示しながら説明して ください。 指示する 全体 (ペア学習) 児童
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