ここからは,「注意する」というカテゴリーの この事例は,①ほめる⇒②説明するという流れグルーピングですが,今のこのグループが重ならないように考えました。(中略) 全体のバランスを考えて決めました。 図3-13 6年 国語 授業の導入場面 ① 担任:みんなが昨日書いたプリントを見せてもら いましたが,よかったです。ずいぶん,整 理できて,誰の発表もいいものになると思 います。だから,自信をもって伝えてほし いなと思います。 ② 担任:グルーピングですが,今のこのグループが 重ならないように考えました。(中略)全体 のバランスを考えて決めました。 みんなが昨日書いたプリントを見せてもらいましたが,よかったです。ずいぶん整理できて,誰の発表もいいものになると思います。だから,自信をもって伝えてほしいなと思います。 ほめる 全体 そうです。顔の様子のことですね。 図3-14 1年 図工 めあてを確認している場面 人権教育 18 教師が,学級全体の児童を対象として発言する場合,「みんな」や「君たち」という表現がよく使われる。しかし,「みんな」や「君たち」という表現では,必ずしも全員の児童に発言の意図が届いていない場合がある。学級担任は,自分の発言の意図を対象とする児童全てに届けるためには,どのような表現を用いるかを考えることが重要であると考える。ここでは,「誰の発表も」という表現が加わったことで,学級担任が全ての児童の学習内容を価値付けていることが,より明確になっている。そのため,児童一人一人が「先生は,自分のことをきちんとみてくれている」「大切にされている」という実感をもつことができたと推測できる事例である。 中から三つの事例を記載する。 〔事例Ⅶ〕 図3-14は,1年 図工:めあてを確認している場面である。 説明する 全体 ここでは,以下のようなやり取りがあった。 ① 担任:表情って何かわかりますか。 ② A児:笑っているとか,怒っているとかです。 ③ 担任:そうです。顔の様子のことですね。 ④ 担任:今,写真を触る時間ですか。コンテを触る この事例は,①発問する⇒②児童の発言⇒③説明する⇒④注意するという流れになっている。 表情って何かわかりますか A児 笑っているとか,怒っているとかです。 時間ですか。 発問する 全体 今,写真を触る時間ですか,コンテを触る時間ですか。 注意する 児童 個人 れようとする。これは,事例Ⅰや事例Ⅱと同じように,他者の姿を肯定的に捉えた結果現れる児童の姿である。つまり,このやり取りからは,教師の発言は,他者との協働的な学びにつながるということが確認できる事例である。 〔事例Ⅵ〕 図3-13は,6年 国語:授業の導入場面である。本時は,前時までにまとめた自分の考えを交流する授業であった。 説明する 全体 ここでは,次のような学級担任の発言があった。 になっている。 授業の導入場面で,学級担任が児童の前時までの学習を肯定的に価値付けたことで,児童は自信をもって交流できたようである。この時間の交流では,日頃,発表に対して消極的な児童も,自分の考えをしっかりとグループの友だちに伝える姿が見られた。 筆者が,この学級担任の発言の中で特に注目したのは下線で示した「誰の発表も」という部分である。
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