B児 ほんどや。 C児 ぼくも,同じことを思っていた。 覚えている人が,たくさんいますね。 今,Aさん,上手に説明してくれ ましたね。 (挙手) A児 一番上の真ん中の所に1を立てて,その1の右に2を立てます。その2の下に4を立てます。たし算とかの筆算と違って,×は,4の一番左に書きます。 ここでは,次のようなやり取りがあった。 ① 担任:(略)ゴールは,先に運び出した人から, ② 児童:がんばるよ。 よし。ボール,お願いね。 ③ A児:後ろの人がボール持つねんで。 ④ B児:前にならえ ⑤ 担任:完全に,準備ができるようになってきまし この事例は,①指示する⇒②児童の行動⇒③児童の行動⇒④児童の行動⇒⑤ほめるという流れになっている。 児童は,コートの準備を終えたチームから集合場所に集まって整列していた。この場面では,学級担任からの集合についての細かな指示は出されていなかった。しかし,児童はこれまでの学習経験から,次の活動を予想して行動していたのだ。その様子をとらえて,学級担任は一重線のように「完全に,準備ができるようになってきましたね。」と,この行動を肯定的に価値付けている。「完全に」という言葉に,児童の成長を大きく評価する担任の思いが込められているように推測する。 この言葉を聞いた児童は,とてもうれしそうな表情をしていた。そして,その後の説明や指示もいつも以上に,静かに聞くことができていた。 この後,図3-9の ように,1時間を通 して意欲的に活動す る児童の姿が見られ た。また,後片付け の場面でも,互いに 声を掛け合って, 協 力しながら活動する 姿が見られた。 このような児童の姿が見られたのは,学級担任の発言によって,児童が自らの成長を実感するとともに,友だちと協力することのよさや価値を認識したからではないだろうか。それらが,児童一人一人の自信となって,本時の様々な行動に反映されたのではないかと推察する。つまり,教師の発言には,児童に「自分のよさ」とともに「他者のよさ」を意識するきっかけとなる働きがあることがわかる事例である。 奥に持って行ってください。じゃあ,向 こう(体育倉庫)で集合しますね。 いける? ~さん,急いで。ここやで。 こわい? ビブス,誰が持ってくるの? ~さん,ごめんね。 たね。 筆算マンションに,住人を住まわすときに,まず,しないといけないことは何でしたか。 Aさん(指名) 図3-10 3年 算数 前時の復習場面 Aさん(指名) の右の方に2を立てます。その2の下に4を 人権教育 16 発問する 児童 字)を住まわすときに, まず,しないと いけないことは何でしたか。 立てます。たし算とかの筆算と違って,× (かける)は,4の一番左に書きます。 ほめる 全体 個人 図3-9 体育の授業での児童の 様子 〔事例Ⅳ〕 図3-10は,3年 算数:前時の復習場面である。 全体 ここでは,次のようなやり取りがあった。 ① 担任:筆算マンション(筆算の枠)に住人(数 ② 児童:(挙手) ③ 担任:覚えている人がたくさんいますね。 ④ A児:一番上の真ん中の所に1をおいて,その1 ⑤ 担任:今,Aさん,上手に説明してくれましたね。 ⑥ B児:ほんとや。 ⑦ C児:ぼくも,同じことを思っていた。
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