C児 ほんまや。 ほんとやね そうやね。 A児 「小さい」の「小」さいとおんなじや。 B児 「フ」みたい。 Aさん,はなまるやね。待ち方。 口を閉じて,手は膝に,足は床に。 えらいですね,Aさん。 筆箱,クーピーを片付けてください。 挨拶をしたら,はがきを前に持ってきてください。 ③ 担任:ほんとやね。 ④ 担任:(二画目)折れた後は,はらいます。 ⑤ B児:「フ」みたい。(つぶやき) ⑥ 担任:そうやね。 ⑧ C児:ほんまや。 ⑨ ji この事例は,①説明する⇒②児童の反応(つぶやき)⇒③ほめる⇒④説明する⇒⑤児童の反応(つぶやき)⇒⑥ほめる⇒⑦説明する⇒⑧児童の反応(つぶやき)という流れになっている。 ① 担任:一画目,縦の道路を通ってはねます。 ② A児:「小さい」の「小」とおんなじや。 ⑦ 担任:カタカナの「フ」が,ちょっと細くなった ほめる 個人 今日はこれで終わりますが,また,次に続きをやりましょうね。もう一枚書けるんですよ。 図3-5 1年 国語 学習のまとめに移る場面 人権教育 14 A児は学級担任の説明を聞いて「水」という漢字の一画目が,以前に習った「小」の一画目と同じであることに気付き,つぶやいた。これに対して,担任は,下線で示したように「ほんとやね」と承認している。続くB児の二画目がカタカナの「フ」に似ているというつぶやきにも,学級担任は二重下線のように「そうやね」と承認し,更に,波線で示したように「カタカナの」「ちょっと細くなった感じ」と言葉を補足し,B児のつぶやきの内容が,他の児童にも理解できるようにている。 この後の漢字の学習では,多くの児童が漢字ドリルや教科書を開いて,似ているものはないかと探しながら学習する姿が見られた。 この姿から学習に関係のあることや,次の活動につながること,他の児童にも広げたいと判断したつぶやきに対して学級担任が承認することは,つぶやいた児童だけでなく,学級の他の児童の学習意欲の向上につながることがわかる。また,友だちの気付きを自らの学習に取り入れるという行為は,友だちの姿に価値を見出し,友だちに対する肯定的な意識が働いたことによって生まれるものであると考える。この意味において,教師の一人の児童に対する「ほめる」という発言が,他の児童に友だちのよさを気付かせる働きがあることがわかる事例である。 〔事例Ⅱ〕 児童 図3-5は,1年 国語:学習のまとめに移る場面である。 説明する 全体 指示する 全体 ほめる 個人 ○授業観察の実際 本研究において調査した授業中の学級担任の発言の中で,「自分の良さや価値に気付き,それを認めることができるような意識や感覚に影響を及ぼすと思われる発言」,「他の人の良さや価値に気付き,それを認めることができるような意識や感覚に影響を及ぼすと思われる発言」など,児童の人権感覚の育成につながると考えられる事例を,以下に記載する。 はじめに「ほめる」というカテゴリーの中から六つの事例を記載する。 〔事例Ⅰ〕 図3-4は,1年 国語:漢字の学習場面である。 説明する 全体 児童 ここでは,次のようなやり取りがあった。 一画目,縦の道路を通ってはねます。 折れた後は,はらいます。 カタカナの「フ」が,ちょっと細くなった感じやね。 図3-4 1年 国語 漢字の学習場面 (つぶやき) 感じやね。
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