図3-3 授業中の発言時間全体に占める各カテゴリーの時間の割合 観察した授業の中から各学級,正確な計測ができた国語と算数の授業,6時間分を抽出し,それぞれのカテゴリーの割合を算出した。ただし,各学級の授業の総時間及び,授業の中での学級担任の発言時間には違いがある。 人権教育 13 ていたと考察する。もう一つは,確認を求める児童の発言に対する返答(説明,肯定的な承認を除く)である。「先生,これでいい?」などの児童の発言に対して,ていねいな対応がなされていた。これら二つの内容は,1年生という学年の発達段階を踏まえたはたらきかけのであると考察する。 3年生でも,「その他」の 占める割合が23.4%と高 かった。しかし,その内容 は1年生とは異なり,児童 の意見や児童間のやり取 りに対する学級担任の反 応や感想(承認を除く)が 多かった。 学級担任が,学級経営を 行う上で大切にしたいと 考えている児童一人一人 の声に耳を傾けるという 姿勢が,授業の中でも実 現されていることがわ かった。更に,3年生の「そ の他」の発言の中には,児 童の学習意欲につながる ような話題の提供などもあり,これらが児童が楽しく学習する環境づくりの実現につながっていたと考察する。 6年生の特徴は,「説明する」の占める割合が, 52.7%で,授業中の全発言の半分以上を占めていることである。 6年生の「説明する」というカテゴリーの内容の特徴は,個人もしくはグループにかけられるものが多かったことである。一人学びやペア学習,グループ学習の際に,一人一人の児童,もしくはグループの学習状況に合わせて,学級担任が,個別に「説明する」という場面が多く見られた。 観察をしていた際の児童の姿から,このように,学級の児童全体をていねいに観察し,それぞれの学習状況を正確に見取ってかけられる発言によって,児童一人一人が「大切にされている」という実感をもちながら学習に臨むことができていたと推測する。 図3-3で示した結果をもとに,学年間の比較をすることはできない。しかし,学年ごとのカテゴリーの占める割合については,低学年・中学年・高学年という児童の発達段階に合わせた授業をすすめていく上での,ある一定の傾向とみることができるのではないかと考察する。 (%) (%) (%) ○発言時間の集計結果 図3-3は,授業中の各学級担任の発言時間全体に占める五つのカテゴリー,「説明する」「指示する」「発問する」「ほめる」「注意する」と,どのカテゴリーにも含まれない「その他」の時間の割合を表したものである。 授業中の発言時間全体に占める各カテゴリーの時間の割合 3学年共通して一番多くの割合を占めていたのは「説明する」であった。1年生では36.7%,3年生では49.3%,6年生では52.7%と学年が上がるにつれてその割合は増えていた。学年ごとの特徴については以下に考察する。 1年生では,「ほめる」の割合が10.3%で,他 の学年と比較すると2倍以上の高い割合であった。また,どのカテゴリーにも含まれない「その他」の割合が31.4%を占めていた。 「その他」には,授業の始めと終わりの挨拶など,どの学年にも共通するものも存在するが,1年生の「その他」の発言内容には,大きく二つの特徴がみられた。 一つは,児童の発言に対する聞き直しや言い直しである。児童の発言内容が他の児童にも理解できるようにするための「~ということかな」などの発言である。児童と児童をつなぐこのような発言によって,児童の友だちの意見を聞こうという意欲が高まり,それが,学習規律の定着につながっ
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