KO501 報告578 人一人を徹底的に大切にする」という理念のもと,子どもに関わる様々な課題に対して,人権の視点から解決を目指した取組に力が注がれてきた。しかし,いじめや児童虐待などの児童の人権にかかわる問題が今もなお発生している現状を考えると,児童生徒の人権が十分に保障されているとはいまだいえず,さらなる人権教育の充実が求められている。 本研究では,人権尊重を規範とした行動を日常的にとれる児童の育成を目指した人権教育の在り方について考える。 本年度は,京都市の『≪学校における≫人権教育をすすめるにあたって』に示された人権教育の四つの視点のうち,“人権としての教育”と“人権を通しての教育”に注目し,小学校での児童の人権感覚の育成につながる取組について,授業中の学級担任の発言に焦点を当てて調査,分析してきた。その結果,学級担任の発言には,児童の人権感覚の育成に影響を及ぼす大きな力があり,その意味において,学級担任の発言そのものが人権教育の一つであることがみえてきた。 京都市の学校教育では,長年にわたり人権教育を重視し,「子ども一-人権の視点に立った学級経営の在り方と学級担任の役割- 菊谷 未奈子(京都市総合教育センター研究課 研究員) 自分の大切さとともに,他の人の大切さを認めることの できる子どもの育成(1年次)
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