表1-2 連携を進める上での課題 ・学級担任との情報交換の時間捻出 設置校での連携 ・定期的な連携の確保 ・時間割の調整 ・学級担任との情報交換の時間捻出 ・窓口役の不明確さ 巡回校との連携 ・定期的な連携の確保 ・時間割の調整 ・指導開始までの流れ まず,一つ目の学級担任との情報交換の時間捻出について述べる。通級による指導だけでなく在籍学級での指導・支援の充実を図る上で,児童の実態を把握することは欠かせない。しかし,その学級担任との情報交換の時間を捻出することに難しさが生じているようである。また,図1-8に示した具体的な連携内容の実施率では,間接的な情報交換,直接的な情報交換ともに80%を超える実施率であるものの,自由記述欄に情報交換の時間捻出として課題が挙がっているため,指導の目的を達成するまでの連携に至っていないのではないかと推測する。情報交換は,児童との関わりが減る放課後が実施しやすい時間帯であると考えられる。しかし,各部会での協議や部活動の指導といった他の職務との関連もあり,情報交換のための時間捻出が困難な状況がある。特に巡回校の場合,勤務形態が影響し,学級担任をはじめ巡回校との連携の困難さを担当者は感じているようである。 次に,二つ目の定期的な連携の確保について述べる。定期的な連携とは,校内委員会(個別ケース会を含む)や保護者面談などである。日常的な情報交換とは違い,関係各者が集い,役割分担の遂行を含めた指導内容の状況や目標の到達度を評価し,今後の指導について協議する。定期的な連携を図ることで,個別の指導計画との連動が図られ,指導の目的を達成することにつながる。先にも述べたが,巡回校の場合,連携を進める上での担当者の役割の不明確さも影響し,定期的な連携の困難さが生じていると推測する。 そして,三つ目の時間割の調整について述べる。通級による指導は,特別の教育課程を編成した上で実施しているため,あらかじめ指導の曜日や時間帯を決めている。しかし,学校行事や学年の取組などにより,教育課程変更届どおりに学習を進めることが難しく,時間割の調整に苦慮しているようである。 これら三つの共通の課題は,相互に事前の日程調整を必要とすることである。「いつ」「だれと」「何を,どのように」するのかといった方法について,管理職や総合育成支援教育主任,そして学級担任との協議の上,計画性のある組織的な連携を進めていくことが必要であると考える。 更に共通の課題に加え,巡回校においては,情報伝達を行う窓口役の不明確さや指導開始までの流れに関する課題についても挙がっている。 窓口役の不明確さについては,「誰に情報を伝えればいいか悩むことがある」との担当者からの記述もあり,情報伝達の方法や窓口役を事前の協議において決められていないことも要因であることが考えられる。巡回校との連携においては,学級担任との直接的な情報交換の機会が少なくなりやすい。窓口役と情報伝達の流れの明確化をすることで,情報伝達の円滑化となり,学級担任との直接的な連携を補うことにつながると考える。 また,指導開始までの流れについては,設置校と巡回校では違いがある。具体的な違いについては,次章の中で述べることとするが,巡回校においては,限られた期間に,児童・保護者の願いを含めた実態把握と指導目標及び内容の検討を進めており,担当者と巡回校,保護者との連携が重要となる。また,担当者の専門性も求められる。 平成27年度本市実態調査の結果から,担当者による通級エリア校における連携の課題と解決に向けた方向性について,下の枠内のようにまとめた。 以上,平成27年度本市実態調査の結果より,LD等通級指導教室を運営するに当たり,担当者は通級エリア校間での効率的な連携を図ることに苦慮しているといえる。特に,担当者と巡回校との連携については,物理的な環境や勤務形態といった要因が影響し,効率的な連携が進めにくい現状がある。そこで,連携の目的を達成できるよう,連携内容や役割分担を明確にした上で,計画性のある組織的な連携を進めることが,担当者には求め・担当者と通級エリア校との連携を進めるに当たり,設置校での連携と比べ巡回校との連携を効率的に進めにくい現状があり,担当者が苦慮している。 ・設置校と巡回校では,連携の実施内容に差があり,計画性のある連携に課題がある。そのために,通級エリア校間において,連携の窓口役や具体的内容,そして,1年の流れといった連携方法を協議し,組織的な連携を進める。 ・巡回による指導の開始時の流れを明確にすることが課題であり,円滑な指導の開始が求められている。 小学校 特別支援教育 7 自由記述の内容
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