001総教C030705H27最終稿(景山)
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図1-3 担当者と在籍校(学級)との具体的な連携(7) の情報提供」を行ったりと,積極的に直接的な連携を進めていることがうかがえる。また,担当者は「⑤通級児童生徒以外の子どもの教育相談等の実施」も行っており,担当者の役割の一つとして求められるLD等通級指導教室を利用していないLD等の支援を必要とする児童生徒の実態把握と支援を担っていることがわかる。 大城・笹森は,これらの全国調査を受け,「通級指導教室担当者も通常の学級担任との情報の共有,連携が大切だと認識しているものの,通常の学級担任との連携の困難さについても課題として浮かび上がっている」(8)と述べている。これは,年々増加する通級による指導を受ける児童数に伴う指導時間の確保や校内委員会や個別ケース会の日程調整などが影響し,直接的な連携を図ることの難しさが生じているものと考える。 以上のことから,担当者は,連絡ノートの活用といった間接的な情報交換をはじめ,校内委員会への参加や教材・教具,参考図書の情報提供をするなど,学級担任及び在籍校との直接的な連携を積極的に図ろうとしていることがわかる。しかしながら,担当者はその教室運営に当たって,連携を図ることに困難さを感じている。 特に,自校通級に比べ他校通級の方が,課題が生じやすい傾向にあるといえる。これは,自校通級と他校通級の物理的な環境の違いによることが大きく影響していると推察される。よって,環境的な要因を工夫・改善していくことが必要である。 また,直接的な情報交換の実施の難しさについては,物理的な環境要因に加え,事前の日程調整を必要とすることにあると考える。つまり,通級による指導の目的を達成するために,限られた時間や場を活かした効率的な連携を進めていくことが担当者に求められているといえる。 図1-4 本市のLD等通級指導教室の指導形態 小学校 特別支援教育 4 (2)本市のLD等通級指導教室における連携の現状 ①指導形態 図1-4は,本市が採用するLD等通級指導教室の指導形態を筆者がまとめたものである。 本市においては,図1-4に示すように自校通級と他校通級,そして,巡回による指導の三つの形態を採用している。設置校に在籍する児童へは,自校にある教室で指導を受ける「自校通級」を行う。そして,設置されていない学校に通う児童へは,設置校へ通って指導を受ける「他校通級」と,担当者が対象児童の学校へ巡回して指導をする「巡回による指導」の指導形態である。 では,このような指導形態を採用している本市LD等通級指導教室は,どのように通級エリア校間での連携を進めていく必要があるのだろうか。平成27年度現在, LD等通級指導教室を設置する小学校52校を対象に実施した,LD等通級指導教室の連携に関する実態調査(以下,「平成27年度本市実態調査」という)の結果から,通級エリア校間での連携の現状と課題について述べることとする。 平成27年度本市実態調査は,平成27年5月に実施し,5月1日現在の実態を回答するように依頼した。また,調査方法は,調査用紙を用い,本市文書メール交換システムによる送付及び回収による手続きをとった。 回収数は,ことばときこえの教室併用校を含む52校中52校となり,回収率は100%であった。そして,有効回答数は52校中51校と,有効回答率は98.1%であった。 ②指導の状況 次ページ表1-1は,本市LD等通級指導教室の指導の状況をまとめたものである。LD等通級指導教室を「LD等のみ」,ことばときこえの教室併用校を「併用校」,LD等のみと併用校を合わせた全てのLD等通級指導教室を「全教室」と記載している。また,本市が採用している指導形態のうち,他校通

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