(16)松村勘由 「『通級による指導』の現状と課題」『季刊「特別支援教育」NO.40』東洋館出版社 2010.12.15 p.7 通学級に在籍し,発達障害のある,または,可能性のある子どもであり,学習や生活上の困りが多岐に渡っている。そして,LD等通級指導教室において効果のあった指導内容や方法,教材・教具が在籍学級においても活用され,連続性のある指導・支援の推進が重要である。この相互推進型の協働的な連携を図る中心的な役割を担当者へは求められる。以下は,2年間の研究を通じて筆者が考えた,担当者として求められる指導力である。 自主的・主体的にブロック連絡会や教育研究団体での活動と日々の教育実践を通して,担当者としての指導力,専門性の向上が図られると考える。そして,通級による指導の目的の達成,言いかえると,“子どもが変わる”ことにつながるLD等通級指導教室の『運営』に携わることで,さらなるLD等通級指導教室の充実,進化・発展が期待できる。 平成28年4月。学校教育においては,障害者差別解消法の施行の下,インクルーシブ教育システムの理念を浸透させるために特別支援教育のさらなる推進が一層求められる。そして,設置されて11年目を迎える本市LD等通級指導教室は,今まで以上に重要な役割を担うこととなる。 そのためにも,LD等通級指導教室のシステムが本市の学校に拡がり,持続可能なLD等通級指導教室の『運営』と『活用』の促進を期待する。そして,子どものよさや可能性を最大限に引き出し,自らの未来を切り拓くための「生きる力」の創造となる教育活動の推進を目指したい。 最後に,2年間の研究を進めるに当たりご理解とご協力を賜った研究協力員並びに研究協力校の教職員の皆様,ご指導・ご助言を賜った多くの方々に心より感謝の気持ちを表したい。そして,全ての子どもたちの将来展望が開かれる社会の実現と学校教育の充実を切に願う。 *特別支援教育に関する知識やスキル *普通学級における学級経営及び教科指導のスキル *順応性のある人間関係の形成力とネットワークの広さ *柔軟な対応力とフットワークの軽快さ *子ども,保護者,教職員に徹底的に寄り添う意識 *担当者としての“やりがい” 小学校 特別支援教育 30 ③資質向上を目指したブロック連絡会の運営 ブロック連絡会は,担当者間での情報交換を中心に行う会である。本市を北・西・東・南(呉竹)の4つのブロックに分け,ブロックリーダーを中心に毎月開催している。 実際には,年度当初にブロック連絡会の年間計画を立て,テーマに沿った実践交流を中心に,教室運営や指導方法に関する情報交換を行っている。また,指導案検討や公開授業を通した授業研究も行っている。今年度は,巡回による指導の授業公開が行われたブロックもある。一人職として孤軍奮闘する担当者にとって,特に担当履歴の浅い担当者にとって,ブロック連絡会は日々の教室運営や指導方法に関する困りや悩みを相談できる場である。そして,解決方法を具体的に学んだり,担当者の専門性の向上が図れたりできる,貴重な機会となっている。 このことから,より高い専門性を求められる担当者にとって,ブロック連絡会は担当者としての資質向上の役割を担っている。そこで,OJTの視点を意識した意図的・計画的にブロック連絡会の運営を進めることが有効であると考える。また,ここ数年の新設校の増加に伴い,各ブロックに所属する担当者が15人前後と,増加傾向にある。ブロックの再編による少人数での運営や他のブロックとの合同開催などといった工夫を取り入れながら,効果的なブロック連絡会の運営を期待したい。 ④LD等通級指導教室の教育研究団体の設立 本市では,教員の資質向上を目指した教育研究団体を各教科領域等で設立し,計画立てた研究・研修の推進に努めている。しかしながら,LD等通級指導教室においては,教育研究団体を設立しておらず,先述したブロック連絡会がその資質向上の役割を担っている。 今後は,より実践的な教室運営やニーズに応じたアセスメント方法,そして目標達成に向けた指導方法の蓄積など,通級による指導を効果的に実施できる担当者としての資質能力の育成を目指したLD等通級指導教室の教育研究団体の設立が望まれるところだろう。教育研究団体の設立により,担当者にとって自主的・主体的な実践研究,実践交流の場が生まれ,専門性の向上につながることを期待したい。 ⑤担当者としての指導力 LD等通級指導教室を『活用』する子どもは,普おわりに
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