図4-2 通級による指導の効果を高めるための縦と横の連携 において相互推進型の協働的な連携を図りながらLD等通級指導教室の『運営』を進めていくことの重要性を確認することができた。 松村の述べる三つの観点からも,縦と横の連携を促進していく必要性を確認することができる。連携の主体者の一人となる担当者が,意図的な縦と横の連携を図り,生涯にわたって途切れない連続性のある支援体制となる連携を目指すことも大切である。 抑えられ,指導時間の確保ができる。そして,巡回校においても,設置校同様に担当者としての役割を発揮できる環境やシステムが生まれる。つまり,通級による指導を行う担当者とその基盤となる在籍学級をはじめとする在籍校における指導・支援を推進する教職員と,協働的な連携が促進し,持続可能なLD等通級指導教室のシステムとして起動することが期待できる。そして,本市全ての小学校においてLD等通級指導教室の『運営』と『活用』に向けた環境整備が整うこととなる。 この拠点校方式を採用するには,設置校1校と巡回校2校程度の学校を,一つの通級エリア校として確定することが必要である。そして,設置校同様に通級による指導を行う場を常設し,教材の確保を含めた教室環境の整備を行う。確定しているエリア校から段階的に採用し,拠点校方式のシステムの下で通級エリア校内での連携会議の開催と年間の連携計画の策定を進めていくことも可能である。各エリア校間で情報交換しながら,実態に応じたLD等通級指導教室の『運営』ができれば,多様な学習の場としての通級による指導の在り方に拡がりと深まりが生まれ,児童や保護者,教職員や学校にとっての『活用』の促進となる。 ②縦と横を意識した連携の充実を図る 通級による指導の効果を高めるための連携には,縦と横の連携があると考える。右上図4-2は,縦と横の連携を表したものである。 縦の連携は,小学校入学後の学習や生活への移行を円滑に行うために就学支援シートを活用したり,情報交換会を開催したりして保幼小連携を進める。また,小学校卒業後の学習や生活への移行を円滑に行うために個別の指導計画を引き継いだり,情報交換会を開催したりして小中連携を進めることである。そして,中学校卒業後を見据えると,その後の進学や就労といった自立した将来展望に向けた指導・支援を小学校段階から進めていくことも連携の一つであると考える。特に,子どもたちを養育する保護者と,自立した社会参加に向けた将来展望について,小学校段階から話題にしていくことも今後必要となってくるだろう。 横の連携は,子どもの情報交換及び指導・支援の検討などを行うことである。これは,設置校内での連携のみならず,巡回校との連携も含まれる。また,保護者連携や医療,福祉との連携も横の連携の一つとなる。本研究においては,横の連携について研究を進めたことになり,通級エリア校内 ①「通級による指導」の成果が児童生徒の在籍学級や家庭・地域での学習や生活の充実に寄与することが求められている。 ②「通級による指導」は,障害にかかわる専門的な指導・支援を行う教育である。 ③「通級による指導」は,児童生徒のライフステージを超えて,指導や支援を繋ぐ必要がある。 小学校 特別支援教育 29 松村は,「『通級による指導』は,連携による教育である」(16)と述べ,その意味を三つの観点から説明している。下の枠は,松村が述べる三つの観点を筆者がまとめたものである。 そのためには,通級エリア校内での連携と合わせ,以下に述べるOJTの視点を意識したブロック連絡会の運営とLD等通級指導教室の教育研究団体の設立による担当者の専門性の向上が必要である。
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