001総教C030705H27最終稿(景山)
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図4-1 持続可能なLD等通級指導教室の『運営』と『活用』 受けていない児童への支援や学校体制の整備・強化の役割を担える環境下にある。 小学校 特別支援教育 28 一方巡回校では,巡回による指導を実施する時間帯を基本に巡回校で勤務するシステムとなっている。そのため,担当者が巡回校の教職員と個別に連携を図り,通級による指導を進める状態になりがちである。 本研究を進めた研究協力校の学級担任が,「校内での子どもの情報交換,共有を絶えずできる環境にある。その情報は,先生(担当者)へ伝わっていると思う」と述べていた。今後は,巡回校においても担当者としての役割を最大限に発揮できる環境やシステムの構築を目指すことが求められる。そのためにも,通級エリア校内で相互推進型の協働的な連携を図り,持続可能なLD等通級指導教室の『運営』と『活用』を目指したい。 ①拠点校方式によるLD等通級指導教室の運営 持続可能なLD等通級指導教室の『運営』と『活用』を目指し,拠点校方式の通級指導システムを採用することを一つの方策として提案したい。拠点校方式は現在,初任者研修を進める方策として採用されており,研修に専念する教員として初任者4人につき1人の拠点校指導員を配置し,拠点校指導員と校内コーディネーターが必要な研修分野を分担し指導する仕組みである。LD等通級指導教室においても拠点校方式を採用することで,通級エリア校内の学校と,相互推進型の協働的な連携を図り,LD等通級指導教室の『運営』と『活用』が効率的に進められると考えた。 表4-5は,拠点校方式を採用した際の担当者の勤務日のモデルである。拠点校方式を採用することで,担当者の勤務日が決まり,移動時間が最小限に 参加した児童の特殊音節の理解を促し,平仮名の書字力の向上を図ることができたといえる。 「読字・書字」のつまずき把握と指導・評価のプログラムは昨年度の研究において考案し,本市第16回教育研究発表会で報告した。また,今年度当初,本市の総合教材ポータルサイトへ研究1年次の成果物となる「読字・書字」のつまずき把握と指導・評価のプログラムの実践事例集とその教材などを掲載した。実践校が少ないことを考えると,研究成果とその具体を継続的に発信していくことが必要である。読み書き困難のある児童への指導・支援の一環として,本プログラムが実践され,LD等通級指導教室と普通学級との連携がより促進することを期待する。 第3節 持続可能なLD等通級指導教室の『運営』と『活用』を目指して 本市にLD等通級指導教室の設置がされ,今年度で10年が経過する。この間,教室運営や児童への指導・支援と評価,更には保護者との連携など,試行錯誤しながら進めてきた。今後は,これまでの本市LD等通級指導教室での実践を継承し,更に進化・発展を目指した教育実践が求められる。そこで,この2年間の研究を通じて筆者が感じた,LD等通級指導教室の『運営』と『活用』を促進していくために必要なことについて以下に述べる。 本市の通級による指導へのニーズは増加傾向にあり,次年度以降も同様の傾向にあることが予想される。そして,全ての小学校へLD等通級指導教室が設置されることを望む声を耳にする。しかし,昨今の社会情勢や担当者としての専門性を担保する観点から,急激な教室の増加は難しいのではないかと考える。 このような状況から,持続可能なLD等通級指導教室のシステム構築が必要となるだろう。右上図4-1は,筆者が考える持続可能なLD等通級指導教室のシステムが起動し,LD等通級指導教室の『運営』と『活用』が推進されていることをイメージしたものである。 現状では,一人の担当者が設置校と複数の巡回校を含む通級エリア校において通級による指導を実施している。設置校では,自校通級の利点を最大限に活かし,担当者が設置校の教職員と相互作用のある協働的に連携を図り,通級による指導や在籍学級における指導・支援への援助,そして保護者連携を進めている。また,通級による指導を 現状の連携 表4-5 拠点校方式を採用した 担当者の勤務日(モデル) 効率的な連携

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