001総教C030705H27最終稿(景山)
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な連携と継続性のある日常的な連携となり,連続性のある指導・支援とその効果につながることが示された。これは,担当者だけが能動的に連携を進めたのではなく,巡回校の教員と共に対象児童の困りの改善・克服につながる教育実践を進めたことが大きく影響していた。その結果,相互作用のある連携になったと考える。LD等通級指導教室の『運営』は担当者が,『活用』は子どもや保護者,教職員や学校が行うものと分けてとらえていたが,教職員や学校が『運営』に参画し,担当者と協働的な連携を進めることが,連携の効率化を図ることにつながると,とらえ直すことができた。 また本実践では,対象児童の変容や在籍学級を含む在籍校の状況に合わせたり,相互の日程調整をしたりし,連携計画を修正しながら連携を進めてきた。通級エリア校内での連携を進める上で,担当者は大局的見地に立ち,計画性と柔軟性を兼ね備えた連携の推進が,連携の効率化には不可欠であると考えられる。 よって,担当者を含めた通級エリア校の教職員がLD等通級指導教室の『運営』と『活用』に参画し,計画性と柔軟性のある定期的な連携を進め,相互理解の深化を図る。そして,継続性のある日常的な連携を意識的かつ組織的に進め,相互の学びの場における連続性のある指導・支援を行う。以上のことが,連携を進める上で重要であると考える。また,本研究を通して,相互推進型の協働的な連携が,通級エリア校における効率的な連携の在り方であることがみえてきた。 更に,実践後の聞き取り調査において,下の枠に記載する内容が各者から出された。 各者からは,人間関係の構築が連携に好影響を及ぼすことが共通して語られている。これは,効率的な連携の促進に向け,それぞれの立場を尊重し,お互いの指導・支援を認め合える関係づくりの必要性を示唆している。筆者は,研究を進める中で,遠慮があることで,連携が停滞していると感じる場面に遭遇した。担当者と通級エリア校と<学級担任> ・(担当者との)つながり,お互いの関係を築いていくことが,連携に重要だと再認識した。 <窓口役> ・(連携を)積み重ねることで,関係性が生まれ連携の形が作られてきている。 ・(担当者は)うまく教職員の中に溶け込んでいる。 <担当者> ・子どものことを考えることで,大人がつながる。 ※( )は,筆者によるもの 問題数 第2学年 (n=234) 第2学年 小学校 特別支援教育 27 単語 特殊音節 15 12.2 16.9 平均 3.2 標準偏差 事前 事後 6.71 12.57 t(20)=9.257555* 特殊音節 10.52 17.81 t(20)=8.085874* (n=21) 表4-4の事前と事後の平均値を比べると,単語,特殊音節ともに事後の方が高い数値となっており,p<0.05である。このことから,小集団学習は,単語 20 3.7 t値 に所属や立場の垣根を越えた人間関係の構築があれば,連携に相互作用が生まれ,効果的な指導・支援が導き出される。つまり,順応性のある人間関係の構築が,通級エリア校における効率的な連携を促進させる基盤となると考える。 第2節 「読字・書字」のつまずき把握と指導・昨年度の研究において,筆者は「読字・書字」のつまずき把握と指導・評価のプログラムを考案した。これは,LD等通級指導教室の年間運営計画に位置付け,在籍学級と連携しながら進めるプログラムである。具体的には,児童の読字・書字のつまずきの早期発見としてスクリーニングを行い,早期支援として放課後の時間帯を利用した小集団学習を実施する方法である。そして,小集団指導後に児童の変容を評価することで,一つの側面ではあるが,通級による指導の必要性の早期把握となる判断と指導・支援を行う仕組みである。 今年度は,昨年度の研究協力校2校に加え新たに4校が加わり,各学校の実態に応じて読字・書字のつまずき把握や指導・評価の実践に取り組まれた。表4-3は,今年度に第2学年を対象に実施した事前表4-3 事前スクリーニングの結果 スクリーニン グの結果をまとめたものである。 評価の実践の拡がり 表4-3を見ると,昨年度同様に,第2学年の児童を対象に平仮名の聴写課題を実施すると,特殊音節を中心に誤表記となり,平仮名の読字・書字につまずきのある児童の早期発見につながることがわかる。 表4-4は,放課後の時間帯を利用した小集団学習へ参加した児童のスクリーニングの平均値をまとめたものである。小集団指導に参加した児童の書字力に高まりがみられたかを確かめるため,有意水準5%で両側検定のt検定を行い,統計的に有意である(有意確立を表すpが0.05より小さい)場合,t値に*と示している。 表4-4 小集団指導前後のスクリーニングの平均値の差

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