<窓口役> <担当者> た,20ページで述べた直接的な連携や21ページで述べた間接的な連携①「連絡ノート」の実践からも同様のことがうかがわれる。 一方で,「優先順位として,連絡ノートが後回しになり,タイムリーな情報交換ができないことがあった」という回答が,学級担任への聞き取り調査の中であった。直接的な連携や間接的な連携②「窓口連携」は,一定の時間確保がされたものの,指導毎に行われたわけでなく限定的である。 以上のことから,日常的な連携は,意識的かつ組織的な連携を進めることが重要である。言いかえると,連携の意識化と組織化を図ることで,相互の学びの場における指導の連続性のある指導・支援につながる効果があると推察される。 (2)定期的な連携 では,日常的な連携を意識的かつ組織的に進めるにはどうすればよいのか。本項では,定期的な連携について考察する。 下の枠は,実践後に学級担任と窓口役,そして担当者へ聞き取った定期的な連携に関する内容をまとめたものである。 小学校 特別支援教育 26 枠内の◇で示したように,定期的な連携を通して,学級担任や窓口役が通級による指導の目的や役割に対する理解を深めたことがわかる。これは,18ページ右枠に示した個別ケース会直後の聞き取りや20ページ左枠に示した総合育成支援教育部会や校内研修会の参加者への聞き取り内容からもいえ,通級による指導への理解の深まりととらえることができる。また,枠内の◆で示したように,担当者にとっても在籍学級での様子を知ろうとする意識の強化が図られている。つまり,定期的な連携を通じて,相互理解の深まりが図られたと考えられる。担当者からは,「自校の教職員に対する巡回による指導への理解も必要」という担当者の回答もあり,設置校を含めた通級による指導への相互理解の必要性もうかがえる。 また,○で示したように,学級担任が個別ケース会で検討事項を意識し,在籍学級において意図的に指導・支援を進めようとしていた。そして,△や▲で示したように,対象児童への指導・支援の成果としての実感を伴っていることがわかる。意図的な指導・支援の推進や成果の実感は,25ページ表4-2に示した「手立て」や「成果」といった連携内容の変容にも表れており,実践後に対象児童の情報共有という形で促進していた。この実感を伴った成果の共有は,通級による指導への理解や意図的な指導・支援の強化が促されると考える。 更に,枠内の実線から,授業参観,個別ケース会,保護者面談といった一連の流れは,指導・支援,養育に関する協議を円滑に進める上で,効果的であったことがうかがえる。これは,連携会議を通して,連携計画を策定したことや連携方法を確認したことによるものであると考える。 以上のことから,定期的な連携は,計画性をもって行い,個別ケース会などの開催や既存の組織への参加を通して,相互の学びの場における理解を深め,日常的な連携をつなぐことが重要である。言いかえると,相互理解の深化を図ることで,日常的な連携が継続性のある連携として強化され,相互の学びの場における連続性のある指導・支援とその効果につながると推察される。 (3)通級エリア校における効率的な連携の在り方 本項では,通級エリア校における効率的な連携の在り方ついて考察する。 本研究では,連携会議を通じて策定した連携計画に沿って,日常的な連携と定期的な連携を進めてきた。その結果,先述した計画性のある定期的<学級担任> ◇(個別)ケース会までは,通級とクラスを別のものととらえていた。お互いにしていること(指導・支援)が,つながっているんだなという感覚がもてた。 ◇通級での成果をクラスで活かせていない。クラスでの指導につなげていきたいと思うようになった。 ○(個別)ケース会で話題になったこと(目標や具体的な指導法)を意識しながら,クラスで取り組んだ。 △(個別)ケース会で共有した方向性や目標を崩さずに指導できたことが成果につながったと思う。 ・保護者懇談前に(個別)ケース会があり,懇談内容が明確になり,保護者との懇談がスムーズにできた。 ◇校内研修会を通じて,通級での指導が子どもの学習や生活につながっていることがわかった。 ◇(総合育成支援教育部会を通じて,)通級での取組が知れ,クラス支援や通級の理解になったと思う。 ◆,▲授業観察や(個別)ケース会は,指導につながる連携になると実感した。 ・学校として歩調を合わせた保護者面談が行えた。 ・校内の情報を広く知れ,保護者懇談会で活用できた。 ・窓口役の先生の(個別)ケース会への参加は,その後の連携をスムーズにすることになった。 ※記号や下線,( )は,筆者によるもの
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