Ⅱ 校 Ⅲ 校 Ⅳ校㋐Ⅳ校㋑ 第1節 研究の成果と課題 (1)日常的な連携 CT :クラスでの困りごとに対し,担任へ相談しています。そして,状況整理やアドバイスをすると,受け入れることができています。 LDT:通級では,目標を意識した活動ができています。見通しをもてなかった時も「まあ,いいか」と思えたり,クラスの友だちの話をしたりしています。担任の先生との関係性も含め,集団への適応が図られつつあるようです。指導回数を減らしていくこと(週2回を週1回の指導)も一つだと思います。 Co :では,今後に向けての検討に移りますが,通級指導の必要性については,どうでしょうか。 VPri:保護者の意向もあるが,次回の保護者面談の中で,学級担任,通級担当の両面から回数を減らしていくことを提案してはどうか。X児が,担任からの助言を受け入れていることも大きいですね。 CT :指導の回数を減らす方向でいいと思います。 LDT:保護者は,全てできることを望んでおられる。今の成長を確認しながら,提案できればと思う。 Co :通級については,週1回の指導の方向で進めていければと思います。では,クラスと通級での次期の目標については,どうでしょうか? LDT:通級では,丁寧な書字と漢字を使った作文ができる,感じたことを言葉や文で表現することを目標にしていきたい。 CT :クラスでは,整理整頓と気持ちの切替えを最優先し,こまめな声かけと時間の余裕をもちたい。 Co :通級での成果をクラスで取り入れていることを保護者の方へ伝え,指導回数の提案をしましょう。 X児:対象児童,CT:学級担任,LDT:担当者 VPri:教頭,Co:総合育成支援教育主任 ※下線や( )は,筆者によるものである。 図3-21 指導回数を減らした後の連絡ノート(一部) 個別ケース会後には,学級担任は保護者へ指導回数を減らすことを提案している。そして,学級担任と担当者,対象児童での相談を行った結果,週1時間の通級による指導をすることになった。 図3-21は,その後の学級担任と保護者,担当者との連絡ノートによる連携の様子である。 図3-21の実線で示したように,活動回数が減ることに対して,情緒の安定を保った表現をしている対象児童の姿とそれを受けての担当者の分析が(前略) (中略) 連絡ノートに記入され,情報共有が行われていた。 これら一連の個別ケース会での協議やその後の保護者を含めた連携は,指導終了の段階の導入となる連携の一端であると考える。個別ケース会において,通級による指導の必要性やその役割,指導・支援の検討について繰り返し協議することで,指導終了への道筋に向かうことが確認できた。 次章では,実践前後に行った連携に関する調査と担当者及び協力校への聞き取りの結果から,研究の成果と課題について考察する。 本項では,日常的な連携について考察する。 研究協力員である担当者が巡回による指導時に行っている日常的な連携について,実践の前後に調査を実施した。調査は,直接的な連携と間接的な連携①「連絡ノート」,そして間接的な連携②「窓口連携」に分け,各連携の時間と内容を記録した。実践前調査は平成27年6月末から7月末までの約1カ月間,実践後調査は各巡回校での個別ケース会が終えた後の約1カ月間を調査期間として実施した。なお,研究を進める都合上,実践期間中に調査したデータを中心に述べることとする。 表4-1は,担当者と各巡回校との実践前と実践後の連携時間の変容をまとめたものである。Ⅳ校については,在籍学級が違う2名の対象児童であったため,Ⅳ校㋐とⅣ校㋑に分けてまとめた。 表4-1 担当者と各巡回校との連携時間の変容(分) 実践前(n=4) 実践後(n=4) 実践前(n=3) 実践後(n=4) 実践前(n=2) 実践後(n=5) 実践前(n=2) 実践後(n=4) 小学校 特別支援教育 24 増 減 +1.00 増 減 -0.04 増 減 +0.40 増 減 +1.00 直接的な連携 0.50 1.50 2.67 2.63 0.50 0.90 0.00 1.00 間接的な連携② 「窓口連携」 2.88 4.50 5.50 5.13 3.00 4.30 ※窓口連携は,Ⅳ校㋐に同じ 第4章 これからのLD等通級指導教室 +1.62 -0.37 +1.30
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