X児:対象児童,VPri:教頭,CC:教務主任,LDT:担当者 LDT:これは,花を観察してスケッチしたものなんです。 (数回のスケッチをした実物を提示しながら) VPri:すごいですね。スケッチに変化が表れていますね。細かい箇所までスケッチし,色の工夫もしてて…。 LDT:授業観察(学級訪問)の時に理科のスケッチの掲示を見ると,細部に意識が向いてなかったんです。細部への意識は漢字の定着にもなるので…。 VPri:先日のスケッチの話を学年ですると,「成長がよくわかるなぁ」と声が上がっていたんです。 LDT:目に見える成果が少しずつ出てきてますね…。 VPri:教頭,LDT:担当者 VPri:シェイクアウト訓練の時に,一次避難はできたけど,二次避難で戸惑っている姿が見られたんです。 LDT:X児はどこにいたんですか? CC :運動場にいました。二次避難に移った時に,全校児童が運動場へ避難してくる様子を見て戸惑ったようで…。いざという時に,パニックにならないように気に掛けないといけないですね。 LDT :状況把握と臨機応変さが課題になりますね。 ◆間接的な連携②「窓口連携」 図3-14は,窓口役となっている教頭との窓口連携の様子である。窓口連携は,学級担任と担当者との直接的な連携を補うための間接的な連携の一つである。指導前に は,前回の通級による指導からの在籍学級での様子の情報交換を,指導後には,通級による指導での様子の情報交換と次回の指導日時や定期的な連携などの日程調整を中心に行った。下に示す二つの枠の内容は,窓口連携の様子の一場面である。 二つの場面のように,窓口連携を通して対象児童の日常の様子や変容の共有,課題の確認ができたりした。また,前期末の評価や保護者からの連絡ノートの内容を伝達することもあった。 このことから,窓口連携による間接的な連携は,直接的な連携を補う情報共有とその後の指導・支援の検討につながる可能性が確認できた。 一方で,教頭,教務主任といった窓口役が職員室に不在,もしくはその他の対応をしていて,窓口連携を図る機会がもてない場合もあった。その際は,電話やメールでの連絡をすることもあった。 次節は,指導開始の過程における連携について述べる。 図3-14 窓口連携 (後日) 図3-15 指導開始の過程において実施する項目(一部) まず,担当者による授業観察と個別ケース会Ⅰについてである。担当者は,総合育成支援課から巡回による指導の要請を受け,巡回校との日程調整を行い,授業観察と個別ケース会Ⅰを実施した。 図3-16 指導開始前の授業観察と個別ケース会Ⅰ 小学校 特別支援教育 22 第2節 指導開始の過程における連携 本実践の期間中に研究協力校において指導開始した事例4例を基に,指導開始の過程における連携についてまとめる形で述べる。 図3-15は,通級による指導開始時に実施する項目を明確にするために筆者がまとめたもののうち,担当者に関連する部分である。14ページ図2-5に示した通級による指導開始への道筋の第4,5ステップをより詳細に記載した。以後,指導開始の過程において実施する授業観察と個別ケース会Ⅰ,保護者面談,個別ケース会Ⅱについて述べる。 図3-16は,担当者による授業観察と個別ケース会Ⅰの様子である。 授業観察については,事前の情報が少ない場合は授業観察前に,事前の情報共有が十分に図れている場合は授業観察後に個別ケース会Ⅰを実施した。情報提供については,学級担任や管理職からの学級での生活や学習に関する様子に加え,本人や保護者の思いや願いについて収集できるように心掛けていた。また,必要に応じて総合育成支援課の指導主事より児童の実態や見立てに関する情報を収集した。 次ページ図3-17は,個別ケース会Ⅰに使用した進行表である。
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