図3-12 学級担任のノート記述が担当者の指導・支援へ 図3-12に示す実線を見ると,長期宿泊学習での対象児童の困り,破線は対象児童の頑張りやその後の成果としての変容に関する記述である。また,二重線は,添付した写真への説明を施した内容である。学級担任は,長期宿泊学習時の対象児童の様子を担当者へ伝えるための工夫として,その説明の記述に加え写真の添付を行っていた。 ◆間接的な連携①「連絡ノート」 連絡ノートは,学級担任と担当者との直接的な連携を補うための間接的な連携の一つである。A研究協力員は,学級担任,保護者,担当者の三者間で連絡ノートを回覧する方法を採用していた。またB研究協力員は,研究協力員A同様に三者での連絡ノートに加え,学級担任と担当者の二者間で回覧する連絡ノートも活用していた。どちらの連絡ノートについても,相互の情報交換となるよう,担当者は,通級による指導の内容や活動の様子,更にその評価を中心に記載した。また,保護者面談の開催に向けた案内や日程調整についての連絡事項も記載した。また,学級担任は在籍学級での様子,保護者は家庭での様子を中心に記載した。 図3-12は,長期宿泊学習後に学級担任によって記述された連絡ノートである。 担当者は,指導前に連絡ノートを確認したことで,表現力やコミュニケーション力を高める活動※下線は,筆者によるものである。 学級担任 学級担任 担当者 図3-13 担当者のノート記述が学級担任の指導・支援へ 小学校 特別支援教育 21 の一つとして長期宿泊学習を振り返る活動を取り入れていた。図3-12の下枠にある担当者によって記述された連絡ノートを見ると,学級担任からの情報が通級による指導へ効果的に反映されていることがわかる。指導後に担当者は,「連絡ノートに写真の添付があったことで,子どもが伝えようとしていることがイメージでき,聞き取りを通して必要な情報を収集し,指導に活かすことができた」と振り返っていた。このように,連絡ノートによる連携を通して,学級担任による情報発信が担当者による通級による指導へつながったことがうかがえる。 連絡ノートへの写真の添付は,連携会議や校内研修会にて,連絡ノートの効果的な活用方法を紹介したことで生まれたことである。その結果,学級担任から積極的な情報提供を得る機会が拡がり,通級による指導へ活かすこととなった。更に連絡ノートには,この他にも夏季休業中の課題(宿題)や単元テストなども添付されていた。 また,図3-13は,通級による指導において把握した実態をきっかけに担当者と学級担任によって記述された連絡ノートである。 図3-13に示す実線を見ると,担当者は指導を通して把握した実態を,連絡ノートを介して学級担任へ情報発信している。そして,波線を見ると,学級担任は今までの実態把握を照らし合わせて分析し,記述している。このように,連絡ノートによる連携を通して,担当者の情報発信が学級担任への指導・支援につながったことがうかがえる。 これらのことから,連絡ノートによる間接的な連携は,直接的な連携を補う相互の学びの場での対象児童の把握ができ,指導・支援に反映する日常的な連携となることが確認できた。また,実物や写真添付など工夫した連絡ノートの記述は,対象児童の頑張りや成長,指導の成果を確認することができる連絡ツールとなることがうかがえた。 担当者 学級担任
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