001総教C030705H27最終稿(景山)
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X児:対象児童,CT:学級担任,LDT:担当者 Pri:学校長,VPri:教頭,Co:総合育成支援教育主任 <担当者> Co :現状を集約すると,集中して学習に向かう,集団の中での関わりが増えたという成長面が確認できました。今後は,不適切な行動をとってしまった時,どうすればいいか分からなかった時に判断することが現状での大きな困りですね。 CT :そうですね。善悪の判断はできるので,そこを活かして支援していきたい。 Co :通級による指導については,どうですか? LDT:ルールを守る,我慢する姿が見えるようになってきています。ただ,衝動的に行動してしまうようで,自己肯定感の低さを私は感じています。 CT :保護者連携もしながら,できたところ,いいところを学校と家庭で褒められるようにしている。 VPri:通級指導に加えて,クラスの状態が落ち着いていることも,X児にはプラスの影響を与えている。 Pri:X児の成長が確認できたが,特に状況に応じた行動調整ができることを今後目指したい。 Co :では,通級指導の必要性を確認し,継続していきたいと思います。次期の目標は如何でしょうか。 CT :次のことを想像し一人で判断できるよう,状況把握する力をつけたい。そのために,考える時間の確保と声かけをしていきたい。 LDT:困りの解決に向けた判断ができるよう,イラストカードなどを用いた活動を継続していきたい。 CT :通級でのやり取りが,クラスでの書く活動につながっているので継続してもらえるとありがたい。 Pri:学級担任とX児との関係性のよさもある。また,通級を一つの心の拠り所にしている面も感じる。次年度へ向け,通級指導や学級担任の存在感をどう引き継いでいくか,自立した行動へどうつなげるかも検討したい。 Co :最後に次回ケース会の開催時期です。 LDT:2月末をめどに後期の評価を行い,次年度へつなげたいと思っています。 Co :では,2月末に次回のケース会を開催します。 ※下線や網掛けは,筆者によるものである。 ことを目指し,個別の指導計画の資料提示を行った。また,個別ケース会後に,保護者面談を設定していることを考慮し,個別ケース会を通じて在籍学級とLD等通級指導教室における個別の指導計画の評価が実施できるようにした。 下枠は,個別ケース会での協議の一部である。 この協議内容から,個別の指導計画を基に,目標に沿った現状の共有や目標の評価といった要点を絞った情報の共有を行っていることがわかる。(前略) (中略) これは,進行表にある「④今後に向けての検討」として通級による指導の継続・終了の判断の項目を設けたことで,進行役のコーディネートにより二重線で示したように対象児童にとっての通級による指導の果たす役割を参加者が再確認できたからといえる。そして,破線で示したように,協議の後半には今後の指導の方向性の検討をしている。つまり,進行役の設定により,学級担任と担当者,更には管理職を含めた多面的な視点で協議が進められた。そして,在籍学級やLD等通級指導教室での指導・支援の効果を共有した後,次期の目標と指導内容の検討をするなど効率的に個別ケース会を進められ,個別ケース会の目的を果たすために進行表は効果的であったといえる。 個別ケース会後,進行役を務めた総合育成支援教育主任に聞き取りを行うと,「進行表があったことで,ケース会の進行がしやすかった。また,会の進め方を参加者が共有したことがよかったと思う」と振り返っていた。つまり,進行表は個別ケース会の目的や進め方を参加者が共有できる有効なツールとなっていた。 また,網掛けで示したように,通級による指導だけでなく,在籍学級での指導・支援の具体的な方法の検討とその効果などが話題に挙がっていた。これは,個別の指導計画を資料提示したことも効果的であったといえる。 下の枠は,個別ケース会直後に学級担任及び担当者へ聞き取った内容をまとめたものである。 聞き取り内容からもわかるように,個別ケース会を実施することで,参加者が対象児童の変容や目指す姿となる指導目標と指導・支援の方法を検討できたことがわかる。枠内の実線で示した内容※下線及び( )は,筆者によるもの <学級担任> ・子どもの成長や課題を考え,振り返ることができた。 ・(個別)ケース会を通して,指導の方向性や目標が一致できたことが大きい。 ・具体的な指導や支援の方法に関して検討でき,クラスでの支援を意識することができた。 ・通級でしている活動が,何のために(目的),今後の何につながるのか(目指す姿)に気付けた。 ・進行表があったことで,目標と評価,次の目標設定と,焦点をしぼった話し合いができた。 ・総合育成支援教育主任や管理職の参加により,広い視点で(個別)ケース会を進められた。 小学校 特別支援教育 18

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