小学校 特別支援教育 13 表2-3の通り,連携会議の参加者は,通級エリア校の学校長と総合育成支援教育主任,そして学級担任及び担当者である。担当者が能動的に企画・運営することが求められるが,学校長,総合育成支援教育主任と協働的に行うことが望ましい。それは,各校での総合育成支援教育の推進役は,学校長及び総合育成支援教育主任だからである。また,通級による指導を受ける児童をはじめ,LD等の指導・支援が必要な児童への支援を検討するのは,各校の校内委員会(個別ケース会)であり,推進役が主体的な役割を担う必要があるからである。 また,計画の策定においては,内容と時期の調整が必要となる。筆者は,各校の成績評価や保護者懇談,長期休業などの実施時期を考慮していくことが適切であると考える。具体的には,長期休業前を一つの区切りとして考え,各校で実施している個人懇談会と合わせて保護者面談を実施する。または,学期末を一つの区切りとして考え,通級による指導の評価を通知する時期に,LD等通級指導教室としての保護者懇談となる保護者面談を実施する。そして,児童の情報交換や学級訪問などに加え,PDCAサイクルによる詳細な実態把握や指導・支援の検討を行う,担当者が参加する校内委員会(個別ケース会)を保護者面談と並行して実施する。校内委員会(個別ケース会)後に保護者面談を実施する流れが,より円滑な連携が進められると考える。しかしながら,巡回校が複数あり,日程が重なる場合,各校全ての事情を考慮して策定することが難しいこともある。その際は,利便性が低い巡回校を優先し,日程調整することが望ましい。また,連携計画を策定するだけでなく,校内委員会(個別ケース会)を通じて,連携計画についても中間点検や評価・修正を行い,各校に応じた連携方法を確立していくことが必要であると考える。 表2-4は,年間の連携計画の一例である。 表2-4 年間の連携計画の一例 この連携計画は,筆者が昨年度作成した設置校における年間運営計画の原案(13)に巡回校における計画を追加し整理し直したものである。通級エリア校内での連携内容や日程を可視化できる形式で作成している。可視化することで,連携内容や日程を相互に理解したり,日程調整しやすくなったりすると考えたからである。また,連携計画の策定後には,計画に沿って効率的な連携が進めやすくなると考える。 次項からは,担当者による通級エリア校における連携の進め方について述べる。通級による指導を行う児童一人を想定すると,連携は通級による指導を開始する以前から始まっており,通級による指導を終了した後も続く。そこで,指導開始の過程,指導中,指導終了の過程に分け,連携の進め方について具体的に述べることとする。 (2)指導中における連携 通級による指導中における連携は,先述したように指導の目的を達成するために欠かせない。そのために,担当者と通級エリア校が表2-2にまとめた連携の具体的内容を,計画的かつ組織的に進められるよう,システム化していくことが求められる。そのために,連携会議を通して,年度当初に連携内容と方法を決めておくこととなる。 表2-5は,効率的な連携を目指し,筆者が作成した連携確認シートである。 表2-5 連携確認シート(一部)
元のページ ../index.html#15