001総教C030705H27最終稿(景山)
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内 容 参加者時期と目的ⓗLD等通級指導教室の授業公開 (学級担任が通級による指導を参観) LD等通級指導教室の授業公開は,学級担任がLD等通級指導教室を訪問し,通級による指導を受ける児童の様子を観察することである。定期的にLD等通級指導教室の授業公開を行うことで,深い児童理解につながるよい機会となる。また,児童の状態や指導内容・教材の効果を確認することができる。学級担任が頻繁に指導の参観をすることは難しいが,学校体制として計画を立てることで実施可能となり,担当者との情報交換や在籍学級での指導・支援につなぐ機会となる。 また,LD等通級指導教室の理解促進,啓発につながる連携ととらえることもできる。そのため,研修として位置付け,窓口役をはじめ教職員が訪問し,意見交換することも有効である。 ⓘその他 この他にも,通級だよりや通知票,評価シート,更には指導の記録がある。 通級だよりは,校内の教職員,もしくは保護者向けに,発達障害の理解促進や指導・支援の具体的方法を記載したものである。教職員や保護者にとって,指導・支援,養育の手がかりになることをねらい作成する。 通知票,評価シートは,児童一人一人に応じて作成している個別の指導計画にある目標を評価し,その達成度や児童の変容をまとめ作成したものである。通級による指導や保護者面談の中で,児童や保護者に渡す。児童向け通知票として作成することで,LD等通級指導教室での活動の振り返りに加え,自信や意欲の向上を促すことも期待できる。 指導の記録は,一年間の指導時数や指導期間,指導の内容や結果などをまとめたものとして作成し,在籍校の校長へ提出する。その後,学級担任は指導の記録を参考に,指導要録へ必要事項を記載する。 第3節 連携の進め方 (1)連携会議と年間の連携計画 担当者と通級エリア校との連携を効率的に進めていくためには,どうすればよいのか。第2節第2項で述べた連携の具体的な内容は,各者が同じ場を共有したり,同一のものを回覧したりしながら連携を進めることとなる。 担当者にとっては,連携の対象者が教職員や保護者,関係諸機関と多岐にわたるため,通級エリア校間での連携を進めていくことは容易ではない。大城・笹森は,担当者と在籍学級との連携の重要性を述べたうえで,「年間を通じて参観日程を決定するなど連携の意識付けを図っているLD等通級指導教室がある」(10)ことを紹介している。そして,「通級指導教室担当教員だけで動くのではなく,組織的にシステム化して,できる限り通常の学級担任だけでなく,周りの教員や管理職も取り込みながら通級指導教室と通常の学級との指導の連続性,連携を深めていくこと」(11)を指摘している。 また,8ページで述べたように,連携内容の明確化と連携の効率化には相関があることが推測できる。したがって,通級エリア校との協議を通して年間を見通した連携内容を検討し,組織的な計画の策定をすることで,連携の効率化が図られるといえる。 更に,牧野らは,関係者が連携・協働の取組を促すための協議をする際,「『どんなことを』『どんなふうに』するのかというやり方の共通認識や共通理解に終始し,そのやろうとする指導・支援の中身は『何のために』するのかについて議論することは少なかった(中略)目的やねらいは,暗黙に了解された前提事項と考えられていた」(12)と述べている。このことから,連携の目的を共有することも重要であるといえる。 このことから,担当者は,効率的な連携を目指し通級エリア校と連携会議を開催し,年間の連携計画を策定する。そして,策定した連携計画に沿って,お互いが組織的な連携を図り,児童への指導・支援,養育を進めていけるようにする。 表2-3は,連携会議の概要について,筆者がまとめたものである。 表2-3 通級エリア校連携会議の概要 ・通級エリア校の学校長と総合育成支援教育主任 ・学級担任 ・担当者 年度当初 年度途中 ・連携計画の中間点検 年度末 ・連携計画の評価,修正 ・連携の窓口役の確認 ・定期的な連携内容の確認 ・各校の予定に合わせた定期的な連携の日程調整 ・日常的な連携内容と方法の確認 小学校 特別支援教育 12 ・連携目的の確認 ・年間連携計画の策定

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