定期的な連携 日常的な連携まず,継続性が必要な日常的な連携について述べる。 ⓐ直接的な連携「学級担任との情報交換」 学級担任との情報交換は,児童の日々の学習や生活の様子,手立ての効果といった直接的な連携として行う。担当者にとって学級担任との情報交換は,連携の目的を達成するための基本であり,欠かすことができない。 具体的には,在籍学級やLD等通級指導教室での成果物や指導教材を交えて実施する。なぜなら,連携においては,同じイメージを共有することが重要であり,言葉だけでなく具体物を交えることでより詳細で深まりのある情報交換ができるからである。また,限られた時間の中で効率的に情報交換をすることも可能となるからである。 通級による指導は,学級担任が在籍学級において指導している間に実施することが大半である。そして,巡回による指導の場合,物理的な環境や勤務形態の要因があるため,学級担任との直接的な連携の難しさが生じている。つまり,設置校と巡回校との環境の違いや勤務形態を考慮すると,以後に述べる連絡ノートや窓口役との情報交換といった間接的な連携と並行して,日常的に連携を進めていくことが重要である。 ⓑ間接的な連携①「連絡ノート」 連絡ノートは,毎回の指導内容や児童の様子を記録するものである。そして,担当者と学級担任や窓口役,保護者とが情報交換を行う間接的な連携ツールとして使用する。更には,担当者と学級担任との情報交換を補う役割を担う。 6ページ図1-8に示した具体的な連携内容の実施率を見ると,設置校84.3%,巡回校94.4%と,担図2-4 主な連携の窓口役 小学校 特別支援教育 10 当者は連絡ノートを積極的に使用していることがわかる。学級担任との直接的な連携を日々進めることが難しい担当者にとって,連絡ノートは児童の様子を情報交換する連携ツールとなっている。そして,連絡ノートに,具体物やコピーを加えることも工夫の一つと考える。児童の実態をより詳細に共有することができ,その後の指導・支援につながる有効な連携ツールと成り得ると考える。 しかしながら,間接的な連携ツールは,一方向の情報発信になりやすく,タイミングのいい情報交換が難しい面がある。連携の該当者が連携ツールの目的や特色を理解した上で使用し,電子メールや電話,窓口役による情報伝達と並行して行うことが効率的な連携につながると考える。 ⓒ間接的な連携②「窓口連携」 窓口連携は,児童の情報交換をしたり,時間割や定期的な連携の日程の調整をしたりする。つまり,窓口役は,担当者と学級担任をはじめとする教職員,保護者,関係諸機関とをつなぐ重要な役割を担うこととなる。更には,連絡ノート同様,担当者と学級担任との情報交換を補う役割も担っている。 図2-4は,平成27年度本市実態調査にある設問「連携を進めるにあたり,主な窓口となっている方はどなたですか(一人を回答)」という,主な連携の窓口役に関する調査結果である。 図2-4から,本市の現状では,設置校の場合,連携の窓口として総合育成支援教育主任(「特別支援教育コーディネーター」のことをさす)が45.1%と大半を占めていることがわかる。つまり,総合育成支援教育主任を窓口役として定期的な連携を進めたり,学級担任との情報交換を通じた直接的な連携を進めたりする環境があるといえる。 一方,巡回校の場合,管理職が58.3%と大半を占めている。巡回校では,物理的な環境や勤務形態の要因があり,管理職が連携の窓口役となり,情報交換や日程調整を進めていることが多い。担表2-2 連携の具体的内容 直接的な連携 ・校内委員会 ・個別ケース会 ・保護者面談 ・関係諸機関とのケース会 ・学級訪問 ・授業公開 ・学級担任との情報交換 ・保護者との情報交換 間接的な連携 ・通級だより ・通知票,評価シート ・指導の記録 ・連絡ノート ・窓口役との情報交換や日程調整
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