日常的な連携を推進し,連携ネットワークの構築を目指す。 最終的に,教育実践の成果と課題を検証し,日常的,定期的な連携の効果や,通級エリア校における連携の在り方について考察する。 第2節 効率的な連携を図るための具体 (1)連携の二つの軸 担当者と通級エリア校との連携においては,空間軸と時間軸の二軸で連携をとらえ,内容を整理することができる。そして,空間軸は直接的な連携と間接的な連携に,時間軸は定期的な連携と日常的な連携に分けることができる。 まず,空間軸でとらえた連携について,述べる。図2-2は,直接的な連携と間接的な連携を図式化したものである。 図2-2の㋐は,直接的な連携を示している。直接的な連携は,担当者と学級担任,担当者と保護者といった連携の該当者が,同じ場を共有して情報交換を行ったり,通級による指導の評価・修正を行ったりすることである。事前の日程調整が必要な場合もあるが,直接的な連携をすることで,双方向のやり取りができ,より詳細で拡がりや深まりのある内容の情報交換や指導・支援の検討などの連携を進めることができる。 一方,図2-2の㋑と㋒は,間接的な連携を示している。㋑が示す間接的な連携は,同じ場を共有しない連携の該当者が,連絡ノートといった「物」介して情報交換や情報発信を行うことである。また,㋒が示す間接的な連携は,窓口役といった「人」を介し,連携該当者の相互と窓口役が別の場を共有して,情報交換や情報発信を行うことである。間接的な連携は,直接的な連携と比べ事前の日程調整が必要でないため,迅速かつタイミングがいい連携が可能である。その反面,一方的な情報発信になりやすく,詳細な情報交換が図りにくい傾向もある。 このことから,担当者は直接的な連携と間接的な連携の利点を意識し,状況に応じた連携を進めることが重要であるといえる。 次に,時間軸でとらえた連携について述べる。図2-3は,定期的な連携と日常的な連携を図式化したものである。 定期的な連携は,ある一定の期間を区切って,連携の該当者が校内委員会や個別ケース会,保護者面談などを通じて情報交換を行い,実態把握や指導の効果を判断することである。具体的には,各者の役割の遂行状況や目標の達成度の確認,通級による指導の終了や継続の判断などを行い,個別の指導計画の評価・修正をする。言いかえると,PDCAサイクルによる個別の指導計画の評価・修正を通して,計画性のある定期的な連携を進めることができる。 一方,日常的な連携とは,連絡ノートや窓口役を介して,担当者と学級担任,保護者が,継続性のある連携を行うことである。具体的には,指導の前後に,時間割の調整をしたり児童実態の情報交換をしたりする。 このことから,定期的な連携は,日常的な連携の延長線上にある。つまり,担当者は定期的な連携は計画性,日常的な連携は継続性を意識し連携を進めることが重要であるといえる。 また,空間軸及び時間軸で担当者と通級エリア校との連携を整理することで,それぞれの特色を意識した連携を進めることができる。更に,担当者と通級エリア校や保護者,関係諸機関とが組織的に連携を進められるネットワークの構築が促進され,通級による指導の目的を達成することにつながると考える。 (2)連携の具体的な内容 次ページ表2-2は,担当者と通級エリア校との連携を前項で述べた二つの軸で整理し,具体的な内容をまとめたものである。本項では,連携を時間軸でとらえた定期的な連携と日常的な連携に分けて,筆者が考える効率的な連携を図るための具体的な内容について述べる。 ㋐ …連絡ノート ㋑ 図2-2 直接的な連携と間接的な連携 …担当者 …学級担任 …窓口役 ㋒ 図2-3 定期的な連携と日常的な連携 小学校 特別支援教育 9 …定期的な連携 ●…日常的な連携
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