001総教C030705H27最終稿(景山)
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第1節 本研究について 前章において,通級による指導を効果的に行うための担当者と通級エリア校との連携の重要性について述べた。LD等通級指導教室における連携は,通級による指導の効果を高めることに加え,在籍学級での指導・支援の充実を図り,通級による指導終了後においても指導・支援の継続ができるようにするために行う。そのために,学級担任をはじめ教職員や保護者,関係諸機関と,日常的または定期的に連携を進め,各者の役割分担の下,協働的に子どもの指導・支援,養育を行うことである。そして,その点検や評価をすることである。 しかしながら,平成27年度本市実態調査の結果から,担当者は通級エリア校における連携に苦慮していることがわかった。特に,設置校での連携に比べ巡回校との連携を進めにくい現状がある。このことから,連携の目的を達成するために,担当者は通級エリア校における効率的な連携を図るための改善や工夫を目指していく必要がある。 第2章 担当者による通級エリア校におけ(2) 岩波書店『広辞苑(第6版)』 2008.1 p.2992 (3) 文部科学省『小学校学習指導要領』 2008.3 p.16 (4) 前掲(1) p.2 (5) 相原章子・武田篤「LD等を対象とする通級指導教室の現状と課題~学級担任との連携に視点をあてて~」秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要33 2011.5 p.70 (6) 大城政之・笹森洋樹「発達障害を対象とする通級指導教室と通常学級との連携の在り方に関する研究」独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 2011.3 pp..21~22 (7) 前掲(6) p.22 (8) 大城政之・笹森洋樹「発達障害を対象とする通級指導教室における支援の充実に向けた実際的研究-『発達障害を対象とした通級指導教室の基本的な運営マニュアル(試案)』の作成に向けて-」独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 2012.3 p.8 られている。 次章では,担当者による通級エリア校との効率的な連携の在り方について詳しく述べる。 右上表2-1は,平成27年度本市実態調査にある連携方法の明確化と連携の効率化の相関関係を調べた集計結果である。そして,その結果を設置校と巡回校とに分けて表している。 相関係数は,図2-1で示した公式に基づき算出した。 表2-1から,連携方法の明確化と連携の効率化の関連について,設置校では0.537と高い相関があること,巡回校では0.403と中程度の相関があることが読み取れる。つまり,連携方法を明確にすると,連携の効率化を図ることができるといえる。そして,連携開始当初に窓口役や連携内容,1年間の流れを共通理解するだけでなく,連携方法についての評価や修正を加えながら通級エリア校の実態に応じた連携の方策を模索していくことがより効率的な連携となり,通級による指導の目的を達成することにつながるのではないかと考える。 そこで,通級による指導の目的を達成するための,通級エリア校における効率的な連携の在り方について,下の枠内に示す教育実践を通して研究を行う。 ①では,担当者と通級エリア校が連携について協議する。協議の中では,連携内容を整理し,可能な連携の方法や時期を確認する。それを,連携計画として策定する。 ②では,担当者や学級担任,窓口役は,共通理解した連携内容や方法に基づき,定期的な連携や設置校 0.537**** 巡回校 0.403*** る効率的な連携 表2-1 連携方法の明確化と連携の効率化の相関 相関係数 ****;高い相関がある ***;中程度の相関がある 図2-1 相関係数を算出する公式(9) ① 連携計画の策定による連携方法の明確化 担当者と通級エリア校が,連携に関する協議を行い,各校の実態に応じた連携方法の明確化を図り,連携計画を策定する。 ② 連携計画に沿った教育実践の推進 連携計画に沿って,日常的な連携と定期的な連携を進める。 小学校 特別支援教育 8

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