第2章 主体的に英語でのコミュニケーション能力を高めようとする生徒の育成を目指して 第1節 研究の構造とその具体 (8) 明治図書『平成28年度版中央教育審議会答申 前文と読み解き解説』2017.3 pp..179,180 (9) 文部科学省『中学校学習指導要領 総則』株式会社ぎょうせい 平成20年 p.7 (10) 京都市教育員会『平成27年度 学校教育の重点』京都市教育委員会 指導部 学校指導課 平成27年 p.15 (11) 前掲(10) p.15 (12) 前掲(2) p.13 (13) 前掲(2) pp..13,14 (14) 前掲(2) p.10 (15) 文部科学省国立教育研究所教育課程研修センター(NIER) 『評価基準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料:高等学校外国語』 https://www.nier.go.jp/kaihatsu/hyouka/kou/11_kou_gaikokugo.pdf p.25 2019.3.1 中学校 英語科教育 7 せるものである。さらに,そこから「話す」「書く」へと一つのトピックのもとで言語活動を展開していく。そうすることによって,生徒は聞いたり読んだりして得た情報をもとに思考を深め,単元の終末で行うパフォーマンス課題に取り組む際に,自身の思いや考えを伝えることに充実感をもつのではなかろうか。そして,ユニットラウンド制とパフォーマンス課題をより充実させるために帯活動を組み込む。数種類の帯活動に目的意識をもって取り組むことがパフォーマンスの成功につながることを生徒が自覚できるように工夫をしたい。さらに,ペア活動やグループ活動など活動形態を充実させ,お互いの成果物や発表を相互評価することにより,生徒と生徒がつながる言語活動を展開していく。 また,二つ目の柱である学びの過程の見取りにおける大きな視点となるのは,学びの可視化である。昨年度の研究の一部であるシステム音読やインタラクション練習,自己・相互評価などの実践に加え,新たに英語学習ポートフォリオを導入する。各校で作成されているCAN-DOリストを活用したポートフォリオを作成することで,「英語を用いて何ができるようになるのか」という目標を見据えた上で言語活動に取り組み,その結果「何ができるようになったのか」を生徒自身が確認すると同時に課題にも向き合い,次の学びへとつなげられる過程を何度も積み重ねられるよう授業をデザインする。加えて,指導者はその学びの過程をより深く理解,重視し,それぞれの生徒がどれだけ前進したかや,評価規準からみた個々の生徒の立ち位置を見取る必要がある。生徒の学習状況を適切に見取ることで効果的なフィードバックが期待でき,生徒が自身の伸びを実感したり具体的に自分の課題を認識したりすることができるようになり,それが生徒の主体的な学びをさらに促進することに寄与するのではないかと考える。 このように,つながりのある言語活動と学びの過程の見取りの二本柱の歯車をうまく噛み合わせることで,生徒はよりよい英語でのコミュニケーションを目指して主体的に学びへ向かうのではないかという仮説のもと,実践を進める。 第2節 つながりのある言語活動について 本研究におけるつながりのある言語活動を次頁のように整理する。 99 本年度の研究では,学習への動機付けや興味関心を持続することはもとより,英語でのよりよいコミュニケーションに向けてさらに主体的に学びへ向かうことができるように,つながりのある言語活動と学びの過程の見取りという二つの柱から実践を進めていく。 図2-1は研究の構想図である。 図2-1 研究の構想図 つながりのある言語活動の中心となるのは領域を統合した言語活動である。各領域をつなぐ言語活動の具体として,ユニットラウンド制とパフォーマンス課題を単元設計に組み入れる。ユニットラウンド制やパフォーマンス課題については第2節において詳しく述べるが,本研究におけるその学習のプロセスは,「聞く」という音声から「読む」という文字へとつなげる第二言語習得の理論と,音声に慣れ親しむことが大きな目標とされている小学校外国語活動の学びをカリキュラムに反映さ
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