001総教C030705H30大栢最終稿
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①設定されたコミュニケーションの目的や場面,状況 ②目的に応じて情報や意見などを発信するまでの方向 ③目的達成のため,具体的なコミュニケーションを行う ④言語面・内容面で自ら学習のまとめと振り返りを行う (12) (下線は筆者による) 96 等を理解する 性を決定し,コミュニケーションの見通しを立てる 図1-6 生徒の学びの過程に対する工夫 二つ目以降の項目に対する回答については,低い数値となった。ここからも生徒たちが学習のめあてに向かって見通しをもって取り組み,自らの学習活動を振り返って次につなげるような,主体的な学びの過程を実現するための手立ての一つである振り返り学習が,うまく機能しきっていないのではないかということが危惧される結果となった。 指導者に指示された通りに学習を進めるだけであれば,生徒たちにとって先の見通しをもつ必要性や動機付けは低くなる。あるいは,指導者のねらいに沿うことが生徒にとって最重要事項だとすれば,見通し・振り返りにあたる活動があっても,表層的な域を越えないものになる可能性もある。反対に,生徒たちが必要性を認識できる目標をもつ場合,その目標達成のために見通しを立て,自身の取組や成果に関する振り返り活動に積極的に取り組む可能性は高くなるのではないだろうか。 ②見通しと振り返りにおける方向性 平成28年答申では,「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業改善を行うことが示されており,その視点の一つである主体的な学びの実現に向けては,見通しと振り返りという学習過程,思考過程を取り入れていくことが求められている。 また,解説には外国語教育における学習過程として,次のように述べられている。 中学校 英語科教育 4 このような①~④の流れの中で,「学んだことの意味付けを行ったり,既得の知識や経験と,新たに得られた知識を言語活動で活用したりすることで,『思考力,判断力,表現力等』を高めていく ことが大切になる」(13)とされている。見通し・振り返り学習は,もちろん教科横断的に取り組むべきものではあるが,ここにあるように,英語科における振り返りにおいては,言語面・内容面の視点から取り組んでいくことが必要とされていることがわかる。 第2節 本研究の目指す生徒像と1年次の研究 (1)本研究の目指す生徒像 グローバル化の進展によって国境の壁が低くなる中,国際社会に生きる日本人として,日本の伝統文化や歴史について十分に理解した上で,その魅力について正しく発信していくことが期待されている。そして,発信ツールとしての英語によるコミュニケーション能力の向上を目指し,日本の英語教育は大きな変革を求められている。解説においては,「外国語科の目標は『簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力』を育成すること」(14)という目標設定がなされている。そのコミュニケーション能力育成のためには,生徒が英語によるコミュニケーションに自信をもち,喜びを感じながら,よりよいコミュニケーションを目指して積極的に次のステップへ向かえる学びを授業の中で展開する必要があると考える。 そこで,本研究において目指す生徒像を「主体的に英語でのコミュニケーション能力を高めようとする生徒」とした。習得した知識・技能を活用する言語活動を軸とした授業設計を通して,生徒自身が「英語でもっとうまく伝えたい。よりよいコミュニケーションがとれるようになりたい。」といった姿勢をもち,「そのためには何をどうすればいいのか。」を把握した上で主体的に学びへ向かう姿を目指したい。 次頁の図1-7は本研究の目指す生徒像と授業設計の視点を表したものである。 授業設計において,「聞くこと」「読むこと」「話すこと[やり取り・発表]」「書くこと」の複数の領域を統合した言語活動と学びの可視化という二つの視点に重点を置いている。 一つ目の視点である複数の領域を統合した言語活動を通して,「読んだり聞いたりして理解した内容をもとに,そこから得た情報や表現を活用しな

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