した内容を表現するために適切な語彙や表現を選択する際に,英語科における思考力・判断力・表現力等が育成できると考える。 ・授業において毎時間の「学習課題(めあて・目標)」 ・「学習課題(めあて・目標)」に対応した「まとめ」 平成27年度以降の学校教育の重点においては,これに類似した文言が継続的に明記され,学校現場においてその充実が図られてきた。 図1-5は京都市英語科教員アンケートにおける,生徒の学びの見通しについての工夫に対する回答である。 ここからは,86%の指導者が毎時間めあてを生徒と共有しており,生徒が見通しをもって学びへ向かうことができるように工夫していることがわかる。しかし,単元や学期,学年ごとの学習到達目標を生徒と共有するなど,生徒が長期の見通しをもって学習を進めるための工夫には課題が見られる。さらに,めあてを共有していると回答したこの86%の指導者のうち,振り返りを行っていると回答した指導者は,60%に満たなかった。これは,めあてを提示するなどして学習の見通しをもたせる工夫はしているものの,その見通しと一体として取り組むべき生徒による学びの振り返りは,ややもすれば重要視されておらず,見通し・振り返り活動が形骸化している可能性があることを示唆している。 また,次頁の図1-6は同アンケートにおける,生徒の学びの過程に対する工夫に関しての回答である。 (8) (下線は筆者による) 他者とのコミュニケーションを行う力を育成する観点から,社会や世界との関わりの中で,外国語やその背景にある文化の多様性を尊重し,外国語を聞いたり読んだりすることを通じて様々な事象等を捉え,情報や自分の考えなどを外国語で話したり書いたりして表現し合うなどの一連の学習過程を経て,子供たちの発達段階に応じた「見方・考え方」が豊かで確かなものになることを重視し,整理することが重要である。 また,文部科学省は,2019年度から全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に英語を追加するにあたり,実施体制の課題検証を目的として,今年度5月に実施した予備調査の問題と正答例を公表した。日常生活の場面をイラストなどで示し,英語のコミュニケーション能力を問う出題が多く,特に課題とされている「話すこと」「書くこと」による発信力について,どのような課題があるか明確になるような問題の出題がなされている。 さらに,思い出を残す場合に写真とビデオとどちらが適しているかについて英字新聞に投稿された中学生の意見文を読み,それを踏まえて自分の考えとその理由を書かせるといった「読むこと」と「書くこと」の領域を統合した問題,自分を含む三人で英語で会話をしている設定で,他の二人の対話を受けて自分も応答するという「聞くこと」と「話すこと」の領域を統合した問題など,複数の領域を関連付けた出題も目立った。ここでは,文章を読んだり対話文を聞いたりして理解した上で,自分の意見を書いたり話したりして伝える力が必要になってくる。複数の領域を相互に関連付けた統合的な言語活動を通して,コミュニケーションの目的,場面,状況に応じ,自分の考えや気持ちを適切に表現する言語活動を積極的に取り入れるなど,授業改善が期待されているといえる。 (2)見通しと振り返り ①見通しと振り返りにおける課題 英語の学習において主体的な学びを促進するためには,学習の初期段階でモデルを示すなどして,生徒自身が到達すべきゴールを見据え,具体的なイメージをもつなどの見通しをもち,結果や学びの過程を振り返りながら学習を進めることが欠かせないと考える。この見通し・振り返り学習活動は,現行学習指導要領の総則においても「各教科等の指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすること」(9)と示されている。 また,京都市においては,平成27年度学校教育の重点において,「学習課題(めあて・目標)を提示し,まとめを的確に行う」(10)ことを重点項目として次の二点が明記された。 約60%の指導者が振り返り活動を行っているが,振り返り活動の本来の目的について問うた の提示を徹底し,学習課題(めあて)を解決するために,(中略)言語活動を効果的に構成する。 を的確に行い,学習の「振り返り」により子どもが自分の学習を評価することを徹底する。(11) 図1-5 生徒の学びの見通しについての工夫 中学校 英語科教育 3 95
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