001総教C030705H30大栢最終稿
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94 統合的な言語使用の中で,聞いたり読んだりして得られた情報や表現を整理・吟味し,話したり書いたりするために活用することが重要である。聞いたり読んだりして得た情報のうち,どの情報を取り上げるのか,またどの表現が話したり書いたりする上で活用できるのかについて考えさせることが重要である(後略)。(5) 図1-3 京都市における複数領域を 関連付けた言語活動 上記は解説の一部を抜粋したものであるが,実際,聞いたり読んだりする受容領域においては,その内容読解に重点を置きがちで,内容に関するQ&A等の活動で済ませてしまうことも多い。しかし,聞いたり読んだりして得た情報や表現を活用して自分の考えを話したり書いたりして表現することを念頭に置きながら,「この表現は使える。」「この部分には賛成(あるいは反対)だ。」という聞き方,読み方を指導することが求められていると考える。 では,京都市の英語教育においても同じような課題が見受けられるのであろうか。そこで,現状を把握すべく,平成30年度英語科夏季研修会において,中学校英語科教員を対象としたアンケート(以下,京都市英語科教員アンケート)を実施した。 図1-3は,図1-1と同様の問いに対する結果である。 図1-4は,さらに「どこに難しさを感じるか」を問うたものである。 図1-4 領域統合型の言語活動における難しさ※複数回答可 京都市においては,複数の領域を統合した言語活動を行っている」と回答した指導者が52%と,全国調査の数値を約10 %上回り,本市における指導者の言語活動への意識の高さが窺える。その52%の指導者に,「その際に難しさを感じているか」を問うたところ,92%が難しさを感じているという結果が示された。 (6) (下線は筆者による) 中学校では,具体的で身近な話題についての理解や表現,簡単な情報交換ができる能力の育成が求められる。そのためには,互いの考えや気持ちなどを外国語で適切に伝え合う対話的な言語活動を重視し,単に自分の考えや気持ち,事実などを聞き手に伝えたり,出来事や体験したことなどについて書いたりするだけでなく,聞いたり読んだりしたことを基に問答したり意見を述べ合ったりすることや,感想,賛否やその理由を書いたりすることなど,複数の力を統合した言語活動を豊富に経験することが重要になる。 中学校 英語科教育 2 ここからは,その他以外の4つの選択肢において,大きな差異が見られず,複数の領域を関連付けた言語活動の充実が図られてきてはいるものの,その一方で実際の指導においてはまだまだ課題も見受けられることがわかる。 ②複数の領域を統合した言語活動における方向性 「教育課程部会外国語ワーキンググループにおける審議の取りまとめ」(2016)では,中学校段階における「深い学び」の学習過程について,次のように取りまとめられている。 現行学習指導要領下において,学校現場では様々な取組を通して言語活動の充実が図られてきたが,ここからは,単なる英語による発信力の育成だけではなく,聞いたり読んだりして自分が得た情報をもとに思考した上で,自分の考えを発信する力の育成が目指されていることがわかる。 解説では,外国語教育において育成を目指す資質・能力を踏まえ,「『外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方』とは,外国語によるコミュニケーションの中で,どのような視点で物事を捉え,どのような考え方で思考していくのかという,物事をとらえる視点や考え方であり,『外国語で表現し伝え合うため,外国語やその背景にある文化を,社会や世界,他者との関わりに着目して捉え,コミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて,情報や自分の考えなどを形成,整理,再構築すること』」(7)と整理されている。 その外国語における「見方・考え方」について,平成28 年12 月21 日の中央教育審議会答申(以下,答申)においては,次頁のように述べられている。 ここからも,複数領域を統合した言語活動を通して,英語教育において育成を目指す資質・能力に迫ることが必要とされていることがわかる。このように,「聞く」「読む」活動においては,その題材を表面的にとらえるだけではなく,登場人物や内容について深く考えさせ,最終的に自分の考えを述べる「話す」「書く」活動の中で,深く思考

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