指導者としての変容 ・本時のねらいを文字で書いてあっても,あまりよくわからなかったけど,見本を見せてもらったのでよかった。 ・最後にパフォーマンステストでこんなことをやるのかと思ったら,焦ったけど,イメージはもてた。 ・推測をしながら読む力がUnit 4ではまだ足りなかった。なので,Unit 5で頑張った。少しついたように感じる。 ・Unit 4では新しいことばかりで,ついていくのに必死だったけど,Unit 5ではUnit 4でできていなかったことができるようになったし,次のUnit 6はもっとできると思う。 ・前までは,英語力をあげたくても何をやったらいいかわからなかったけど,この取組をしてから,どう勉強を進めていけばいいのかがわかった。 A校 結果や過程を見通すことで,これから取り組む活動を通してどんなことができるようになるのかの具体的なイメージをもった上で,生徒が活動に臨めたことがわかる。また,自身の結果や過程を振り返り,課題を克服するために学習を調整しながら前向きに取り組んだ様子が見て取れる。このような見通しと振り返りの過程を繰り返すことが,よりよいコミュニケーションに向かう生徒の育成につながると考える。 ②英語学習ポートフォリオについて ユニットラウンド制で各領域に言語活動を組み込むことによって,生徒が自分の課題がどの領域にあるのかを把握し,次の学びへ生かせることができると考えた。 図4-2は「自分がどの領域(聞く・読む・書く・話す)が得意か,苦手かがわかっている」かを問うたものである。 図4-2 どの領域に課題があるかを把握しているか 両校において,ほとんどの生徒が得意及び課題のある領域の把握をしていることがわかる。また,課題のある領域について,どのように克服しようとしているかについて,「自分の苦手な領域の活動をする時に,苦手な分,より意識して取り組んでいる。」という記述が多く見られた。自身の課題を克服するために,「このようにすればリスニングの力がつく。」などといった具体的な方略を見出すのは非常に難しいが,生徒たちが課題意識をもって活動に取り組むことがその課題克服に向けた第一段階だといえる。 B校 また,「英語学習ポートフォリオを使用することにより,各時間,単元,学期,学年でどのようなことができるようになるのかを把握することができる」かについて,A校においては95%,B校では93%の生徒が「そう思う。」と回答した。各時間,単元等のねらいを生徒と指導者が共有し,生徒自身も逆向き設計の中で授業に取り組めるよう,学期,学年,さらには三年間の見通しをもった授業設計が大切である。 (3)指導者の振り返りから見えた成果 つながりのある言語活動と学びの過程の見取りの二つの視点からの実践を通して,研究協力員の先生方への聞き取りから見えた成果について述べる。 ・文脈の中で語句の意味や言語形式に目をむけるようになっている。 ②帯活動 ・パラフレーズ力がついてきており,パラフレーズすることに喜びを感じている。 ③ペア・グループ活動 ・上手な生徒の発表に感化されて,それに近づこうと頑張っている姿が見える。 ・パートナーやグループでより高め合おうとしている。 <学びの過程の見取り> ①見通しと振り返りのデザイン化 ・最終の目標についてガイダンスを通して共有することで,その目標達成に向けて,それぞれの言語活動に見通しをもって前向きに取り組んでいた。 ・自分の課題と向き合い,次の単元ではこうしていきたいという前向きな姿勢を見せている。 ②英語学習ポートフォリオ ・自分の伸びを認識し,自信をもつようになっている様子が見受けられ,それが次の学びへつながっている。 けて欲しいかを生徒と共有することができた。 ・生徒へのインプット量が以前と比較にならないほど増えた。 <つながりのある言語活動> ①ユニットラウンド制 ・わからない語句や表現があっても聞き続けようとする,読み続けようとする耐性がついた。とりわけ,学習確認プログラムにおいて到達目標に達していない生徒たちがあきらめずに長文等に取り組むようになった。 <その他> ・少し高めのハードルを設定することで,生徒たちがそれを乗り越えようとしていたことと,乗り越えたときの達成感を得ていたことがわかった。 <つながりのある言語活動> ①ユニットラウンド制 ・各ラウンドで目的ある活動を行うことで,どんな力をつ中学校 英語科教育 27 生徒の変容 119
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