118 に対して感想を述べたり賛否やその理由を示したりなどすることができるよう,書かれた内容や考え方などをとらえる活動を行っている」ことに不十分さが見受けられることを取り上げたが,リーディング・ラウンドで何のために読むのかをしっかり生徒が認識して活動を進めていたことがわかる。また,スモールステップの言語活動が生徒の自信につながった様子やC層の生徒たちが自身の伸びを実感していることから,ユニットラウンド制の言語活動が一定の効果を示したということができよう。 ②帯活動とつながったパフォーマンス課題 パフォーマンス課題をより充実させるために組み込んだ帯活動の効果やパフォーマンス課題について,生徒の振り返りから分析を進める。 ・授業でしている活動をしっかりやると,パフォーマンスがスムーズにいった。 ・教科書の言葉をうまく使って発表などをできるようになったと思う。 ・今まで教科書の本文の流れを暗記することしか考えていなかったけど,パラフレーズ練習やシステム音読を通して理解しやすい表現は何かなどを考える力が身につき,それが発表につながったと思います。 ・前よりも自分で考えて内容を整理したり,自分で考えて話したりして,自分で考えて何かをする力がついたと思う。 ・本文中にたくさんパフォーマンスに使えるような表現があって,それを見つけて自分なりの言葉になおす力がついた。 ・発表で使いたい単語があって,でもみんなにとっては初めての単語だしどうしようかと思った。パラフレーズやシステム音読を通して,相手が理解しやすい表現は何かなどを考えるくせがついていたので,それが発表につながったと思います。 ・インターネットで調べた言葉をそのまま使うんじゃなくて,これまでに習った言葉に置き換えることを頑張った。 ・インタラクション練習で,受け答えの練習をしていたので,発表のときに聞き返したりできて,「使えた!」って思った。 ・英作文でコツコツためた情報が発表のときに役立った。 ここからは,生徒がパラフレーズ練習,インタラクション練習,システム音読練習,英作文等の帯活動をパフォーマンスで活用できたことへの充実感を得ていることがわかる。また,コミュニケーションにおいて最も大切な,相手意識をもち,より伝わりやすい表現にしようとしている生徒が多くいることがわかった。しかし,パフォーマンス本番ではインターネット翻訳機能を使用したと思われる発表をしている生徒もいた。その生徒の発表を聞いて,「何を言ってるか全然わからん。」とつぶやいている聞き手の生徒がいた。伝わりやすい発表とはどういうものなのか,どういった工夫をすることが大事なのかを次の学びへ生かせら中学校 英語科教育 26 れるよう,適切なフィードバックとともに,根気強い指導改善が必要であると思われる。 また,パフォーマンス課題実施後には次のような振り返りをしている生徒もいた。 この視点は,英語科における思考力,判断力, 表現力に関わるものである。一つの情報から判断するのではなく,他の情報と比べて引用したり,場面や状況,相手に応じた表現を選択したりすることで英語科における思考力,判断力,表現力が養われる。パフォーマンス課題のねらいや,その際に工夫すること,大切にすることを指導者と生徒が共有してきたからこその生徒の気付きである。 ③生徒と生徒のつながり ペアやグループなどの活動形態や相互評価を充実させることにより,生徒と生徒がつながり,学習集団として皆で高まっていくことも一つの目標にしていた。以下は生徒の感想である。 この他にも,「~さんはこういう所がすごかった。」「~さんみたいな発表を目指したい。」という感想が多く見られ,よりよい英語でのコミュニケーションに向けて前向きな姿勢を見せていた。ペアやグループで取り組むことで,協働性や主体性をもって学習に向かえたことがわかる。 (2)学びの過程の見取りの成果 ①見通しと振り返りのデザイン化 結果や過程の見通しと,結果や過程の振り返りを単元構想に位置付け,授業を展開してきた。生徒は次頁のように記述している。 ・状況に合わせて,すぐ頭の中で文を考えたり,たくさんの表現の中から一番最適な表現を選べるように頑張った。伸びてきた! ・具体的な経験や根拠を入れて,説得力を持たせることが必要だと思います。Part 3の咲の話でも,自分の実際に体験したことを入れて,信ぴょう性をもたせていました。もっと他の資料も参考にしたいです。 ・友だちと一緒に活動する中で,こんな表現の仕方もあるのか,と自分の力にすることができた。 ・この授業で英語がより楽しくなってきたと思います。ペアワークはいつもペアに任せていたけど,自分でも考えるようになって,その方が楽しいと思ったからです。 ・すらすら読めるように,近くの人やペアの人に自分から分からない単語の読み方を聞けた。 ・ペアで練習をして,自分より英語ができる人とやることで,よいところを真似できるのでよかった。 ・「相手を意識して発表できていた。わかりやすかった。」というコメントがあり,自分のグループが工夫したところがきちんと伝わっていてうれしかった。
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