001総教C030705H30大栢最終稿
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・聞くこと,読むことから始め,その文章にある表現を最後 のパフォーマンスで自分も使えるようにしようと思って読 んだり,「ここはちょっとどうなのかな」,「自分は違う 考えだ」などと思ったりしながら読んでいた。 ここからは,それぞれのラウンドで目的ある活動を行ったことが他の言語活動で活用されていることや,豊富なインプットを増やすことが生徒の理解を促進したことがわかる。また,第1章第1節では「話の内容や書き手の意見など 主体的にコミュニケーション能力を高めようとする生徒の育成を目指し,単元構想,授業設計,そして実践を行ってきた。実践後,生徒たちがよりよい英語でのコミュニケーションに向けて主体的に学びへ向かう姿に近づいていることを窺わせるデータがとれた。本章では,「つながりのある言(31) 拙稿「No.589 生徒が主体的にコミュニケーション能力を高めようとする授業の創造(1年次)-領域統合型の授業設計と学びへ向かう評価の在り方―」『平成29年度研究紀要』京都市総合教育センター 2018.3 pp.13-16, 18, 19, 22-24 (32) 前項(31) p.18, 23-24 (33) 前項(2) p.27 第4章 研究の成果と今後の課題 これらの目標達成に向けて,各学年の終了時の目標は何か,各単元,各時間,各領域の目標は何かを把握し,その到達度を自己評価できるように,各ラウンドの言語活動とポートフォリオをリンクさせた。 図3-31はリスニング・ラウンドの絵カード並べかえにおいて,大まかな内容を聞き取ることができたかの到達度自己評価欄である。 図3-31 リスニング・ラウンドの到達度記入欄 このように,各ラウンドで行っている言語活動の到達度を記入することにより,前の単元と比較して伸びていることを確認したり,どの領域に課題があるのかを自覚したりできることを目指した。 Unit 5の単元終了後のアンケートにおいて,「自分の目標,学年目標達成に向けて,自分が伸びていると実感している」かどうかを問うた結果,両校合わせて約94%の生徒が「そう思う。」と回答しており,目標を把握し見通しをもって学習を進める中で,自身の伸びを自覚している生徒が多くいることがわかった。 このように,目標達成に向けて見通しをもち,自分が今取り組んでいる言語活動を通して,定期的に進歩が目に見えたり感じたりできるような活動や振り返りが,主体的にコミュニケーションを高めようとする生徒の育成につながると考える。 英語学習ポートフォリオのリスニング領域とリンクする部分 図4-1 ユニットラウンド制の 中学校 英語科教育 25 語活動」と「学びの過程の見取り」の視点から生徒の振り返りをもとに分析する。 第1節 研究の成果について (1)つながりのある言語活動の成果 ①ユニットラウンド制について 図4-1はA中学校でUnit 4, 5においてユニットラウンド制を導入した授業を通して,「英語の力がついたと思うか」を生徒に問うた結果である。 ここからは,91%の生徒が,その効果を実感していることがわかる。また,学習確認プログラムPre-2のC層において,28%が「とてもそう思う。」,52%が「そう思う。」,19%が「あまり思わない。」,「まったくそう思わない。」とした生徒は1%であった。その感想には「回数を重ねることで少しずつわかるようになってきている。」などが見られた。 他の層の生徒の感想を以下に整理する。 ・前にPart 1が終わったらPart 2やってみたいなことをしているときは,最後らへんは忘れてしまっていたけど,このやり方はPart 1から4までを何回も通してやっていたから,全部のパートの内容も単語も文法もよく覚えている。 ・以前より聞く回数や読む回数が増えたので,自然とよく理解できた。 ・リスニングで要点をつかむ練習をしていたので,パフォーマンステストで聞き手役だったときに,発表のすべてを聞き取るのは不可能なので,キーワードを聞き取ることを心がけた。 ・教科書のストーリーの構成がよくわかった。 ・単語や文法の使い方(語順やどんな場面で使うか)を文章の中で理解できるようになった。 ・リスニングやリーディングで,いろいろな活動があって,正解するごとに自信がついた。 117 効果の実感

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