001総教C030705H30大栢最終稿
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生徒Eは「こう言えばもっと伝わった。」という自分の理想の表現を書いている。発話量が増えており,二つアドバイスがあるために,「一つ目は~。二つ目は~。」と発話の構成に着目するなど,内容面での振り返りがしっかりできていることがわかる。指導者がこのワークシートに修正を加え,その後,今度はグループ内で発表する機会を設けた。このように,小さな成功体験を積み重ねることが,自信をもって主体的にコミュニケーションに向かう生徒の育成につながると考える。また,間違いが多かった表現については,全体の場で共有しながら,基礎的・基本的な知識・技能の習得ができるよう,適切な場面で指導者からのフィードバックを繰り返すことで定着を図った。 聞き手の生徒に実際にユニバーサルデザイン商品を触ってもらいながらパフォーマンスしている。また,事前に他のグループに聞いてもってアドバイスをし合い,本番のパフォーマンスに自信をもって臨めるようにした。また,発表 Unit 5「Universal Design」は社会的な話題に関するものであるため,生徒に自分の考えをしっかり構築させることを目的に,パフォーマンスの展開を事前に用意し,発表練習をする機会を設けた。 図3-26はパフォーマンスの展開例である。 図3-26 パフォーマンス課題の構成 自分の考えを主張するだけではなく,教科書の登場人物の経験などを引用することで,その主張の論拠や具体を示せるようにした。発表はポスターセッション形式で行った。 図3-27はそのポスターセッションの様子である。 下線部は,アドバイスをするという場面において,この単元で学んだ言語材料を適切に活用している部分,二重下線は以前の単元で学習した言語材料である。このように,既習の表現を活用して,適切にアドバイスできている様子が窺えたが,中には言いたいことがうまく伝えられない生徒もいた。ここでは,即興性を重視しているが,言いたいことをより適切に伝えられるようになるために,後に正確さに迫る手立てをしている。これについては次項において詳しく述べる。 <実践Ⅱ> 中学校 英語科教育 23 115 図3-27 ユニバーサルデザイン商品を見せながらの パフォーマンス 者と聞き手が質問をし合うなど,即興性のあるやり取りができるようにも促した。最終の成果物は,前項で紹介したホームページ記載用のエッセイである。 ③正確さに迫る 「こんなことが言いたかったけれど,うまく伝えられなかった。」「後で冷静に考えたらこんなふうに言えたのに。」と,このような思いを日々の授業の中で,またパフォーマンス後に感じている生徒は多いと思われる。そこでパフォーマンス時には即興性を重視し,後に正確さに迫るために,録画した自分の発話をディクテーションさせ,内容面と言語面からの振り返りをする時間を設けた。 図3-28は生徒Eが自分の発話を書き取ったものである。 図3-28 自分の発話を書き取ったワークシート ここでは,生徒Eが自分の発話を振り返り,意味が通じていないと判断した個所に波線を入れたり,抜けている単語を付け加えたりして,言語面での振り返りをしていることがわかる。 図3-29は生徒Eの加筆修正後のワークシートである。 図3-29 加筆修正後の生徒のワークシート

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