001総教C030705H30大栢最終稿
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このように練習を重ねたものの定着を図るセクションと即興性を見取るセクションに分けている目的の一つは,学習の定着に時間のかかる生徒でもセクション①で「ここはできた!」という充実感をもつことができるようにすることである。また,習熟度の高い生徒にとっては少し高いハードル(セクション②)を設定することで,知識・技能が活用できているという自覚を感得できると考えている。 (ALT):At this JHS, I can eat lunch with my students. It’s great. But at the other school, I can’t do that. I have to eat lunch in the teacher’s room. I’m sad. What should I do? (生徒A):Why don’t you try to talk with (生徒B):I’m not a teacher. So I don’t know 図3-22 即興でのパフォーマンス ◆A中学校の実践 <実践Ⅰ> Unit 4「Homestay in the United States」において実施したパフォーマンス課題は,「日本の中学校での過ごし方に困っているALTの相談にのり,アドバイスするなどやり取りができる。」というものである。「聞いた」ことについて「話す」という領域統合型の言語活動をパフォーマンス課題という形で具体化した。 表3-4はパフォーマンス課題の構成である。 表3-4 パフォーマンス課題の構成 114 図3-23 指導者と生徒の 英作文上のやり取り 図3-24 完成したMy Heroの 生徒Dの発話から,この単元の指導言語材料である三人称単数現在形が定着していることがわかる。学校の先生紹介とリテリングにおける二つのセクションでのパフォーマンス課題において,この三人称単数現在形を適切に使えた生徒は75 %,一部使用できていない個所も見受けられる生徒は14%,定着に課題のあった生徒や難しさを感じている生徒は11%であった。また,図中下線部に見られる代名詞の誤りについては,同じような間違いをしている生徒も多く見られたため,第1学年最難関といえるこれらの言語材料のさらなる定着に向け,次の授業でフィードバックの時間を取った。 また,表3-3のパフォーマンス課題Ⅰを経て,最終目標であるmy heroの紹介(パフォーマンス課題Ⅱ)をポスターセッション形式で行った。生徒にとっては,教科書の登場人物の紹介や学校の先生の紹介よりも,自分の尊敬する人物について語りたいものである。パフォーマンス課題Ⅰを行ったのは,このmy heroの紹介で自信をもって発表するための経験値を増やすためであった。このパフォーマンス課題Ⅱに向けては,帯活動の一つである英作文活動において,毎時間指導者とのやり取りを通して情報を蓄積したものを活用しており,図3-23はその英作文のやり取りのノートの一部である。 一回の授業で指導者からの一つの質問に答え,回収したノートの回答に指導者がさらに追加質問をしていった。それを繰り返して情報を蓄積していき,最後にその情報をまとめると一つのエッセイになるという取組であり,図3-24は完成したエッセイである。 全市共通テスト学習確認プログラムにおいてC層に位置する生徒にとっては,いきなりある程度の分量の英作文を書くことは難しい作業である。そのため,このように授業につき一つの質問に絞りながら,活動を細分化することは有効な手立てとなった。また,このやり取りの中で,指導者からのフィードバックを得ることにより,正確さの獲得にも迫った。 図3-25はその相談内容に対する生徒の発話をまとめたものである。 エッセイ 図3-25 英作文活動における指導者と生徒のやり取り 中学校 英語科教育 22 Look at this picture. This is Ms. Morita. She teaches music. She likes songs. She song is beautiful. She plays the piano really well. She lives in Osaka. them after the lesson? Or you can eat your lunch quickly, and talk with students. well. You have to tell teachers. Say, “I want to eat lunch with students. They will understand.

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