001総教C030705H30大栢最終稿
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110 10回ものリスニングを行った。聞く目的があるからこそ生徒がリスニングに対して主体的な姿を見せた結果であるということができよう。 ◆リーディング・ラウンド 図3-10はリーディング・ラウンドの構成図である。 図3-10リーディング・ラウンドの構成図 このラウンドにおいては,まずリーディング①でPart 1~4を通してscanningをし,わからない語句や表現の把握を行った。この活動の目的は,第2章第2節で述べた「曖昧さの許容性」と文脈から推測して読み進めることができる力を養うことである。わからない語句や表現があってもそこで止まってしまって先に進めなかったり,あきらめたりするのではなく,前後の文脈からのちょっとした手掛かりをもとに推測しながら読み続けることを目指した。 図3-11はリーディング①に取り組んだ生徒のワークシートである。 図3-11わからない語句の把握と推測をしているワークシート 英文の内容読解を行う上で支障をきたしていると思われる意味や読み方の分からない語句に印をつけ,その後,前後の文脈から推測した上で,ペアでその語句の意味について考えを共有する時間を設けた。このワークシートから,この生徒がcompareという新出語句に印をつけ,自分は「比べる」という意味ではないかと推測しているが,ペアの生徒は「無視」としていることがわかる。 そして,この活動の直後に新出語句や言語材料の導入を行った。いくつかの語句に印をつけてい 友だちの推測 自分の推測 た生徒の一人が,新出語句の導入時に「あ,そういうことか。」とつぶやきながら,即座に意味を書き取っていた姿も印象に残っている。どちらの推測がよりふさわしいかをペアの生徒と競っていた図3-11の生徒も,つぶやいた生徒も,新出語句導入時により意識的に指導者の示す語句の意味を確認する姿勢を見せていた。 図3-12はリーディング①に取り組むことで,この活動の後に指導者が新出語句の意味を導入する際に,意識して聞いたかを実践校両校にて問うたものである。 多くの生徒が新出語句導入時に意識的に取り組んでいることがわかる。生徒の感想には「わからない単語を予想して読むくせがついた。」「わからない単語があっても何回も読んでいくうちに,何となく意味がわかるようになってきた。でも,不確かなので,先生が意味を教えてくれるときにしっかり聞いて,やっぱりそうかとわかったときにうれしかった。」「単語の意味を忘れにくいと思う。」という記述が多く見られた。 次に,リーディング②・③は,英文内容の要点や詳細の読み取りに焦点を当てた活動である。 図3-13はリーディング②の要点をとらえるためのワークシートである。 図3-12 分からない語句の把握・推測の 後の新出語句導入時の意識 図3-13 要点をとらえるためのワークシート 中学校 英語科教育 18

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