全てのパートにおいて絵カードの並べかえを行うのではなく,それぞれのパートの内容構成によっては,キーワードを聞き取ることだけに特化しているものもある。ポイントは,そのユニットのPart 1~4を通して聞くところにある。パート毎に行うのではなく,全パートを通して聞くことで,そのユニットのストーリー全体の大枠をとらえさせたい。 リスニング②では,下の図3-6にもあるように,次のリーディング・ラウンドへの足掛かりになるよう,自分の中で引っかかった音や聞き取れた表現の書き取りを行った。 図3-6は生徒が実際に記入したワークシートである。 図3-6 聞き取れた語句や表現のワークシート ここからは,生徒が気になった音や,絵カードを並べかえる時のキーワードを聞き取っていることがわかる。枠線2から「ハフトゥ?」と生徒が書き○B 図3-3絵カードの例 ○A 108 図3-4 絵カードに取り組む生徒 く。そしてリーディング・ラウンドの後半からスピーキング,ライティング・ラウンドにかけて再び全体をとらえる活動に戻るという構想にしている。また,ラウンド制の言語活動やパフォーマンス課題を活性化させるための帯活動を各時間に組み込み,この単元のねらいに迫れるように授業設計をしたものである。 ②各領域におけるアプローチ ◆リスニング・ラウンド このラウンドでは,音声からの情報を何度も聞くことにより,まずはストーリーの全体像をとらえることを目的としている。また,文字に慣れていない1年生と文字認識が進んだ2年生とで,そのアプローチに若干の差異をもたせた。 <2年生における実践> 図3-2は2年生におけるリスニング・ラウンドの構成図である。 図3-2 リスニングラウンドの構成図 まず,プレ・リスニングとして,教科書の挿絵等を使用した絵カードをもとに,ペアでどんなストーリーなのかの予測を立てた。ここでのペア活動では初めは日本語で行ってもいいこととしたが,徐々に英語によるやり取りをさせていくことが望ましいと思われる。 そしてリスニング①で本文を聞きながら絵カードを並べかえる活動を行った。生徒に配布する絵カードには,図3-3のA・Bのように,紛らわしいものも混ぜ,ある程度要点を把握しなければ正しい方を選べないように工夫を加えた。 図3-4は絵の並べかえに取り組んでいる生徒の様子である。新出語句や言語材料を知らない段階ではあるが,音声と絵を頼りに,しっかり取り組んでいた。 図3-5はリスニング・ラウンドで使用したワークシートの一部である。 絵(カードを)貼る 聞き取れた語句の書き取り 1 Unit 4 Part1の 大枠を全て聞き取れている 2 ハフトゥ?とメモしている。 未習の言語材料 図3-5 リスニング・ラウンドのワークシート 中学校 英語科教育 16
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