図2-3 横浜附属中の授業展開 (19) での流れを考慮した上で,それぞれの言語活動を計画的,意図的に授業に組み込んでいくことが大切であると考える。教科書の題材を発展的に活用して最終的には自己表現活動につなげる。授業において扱う題材を有効に活用して,全体から細部へと徐々に焦点を移していき,意味のある言語活動を設定することにより,学習者にとって習得すべき言語材料や技能を必然的に活用する状況を作り出すのである。 このラウンド制指導には様々な形態がある。 図2-3は通常の授業展開と横浜市立南高等学校附属中学校で編み出された5ラウンドシステムを比較したものである。 このカリキュラムでは,教科書の配列に沿ってユニット毎に授業が流れていく一般的な授業展開ではなく,2~3か月の周期で①~⑤までの五つのラウンド毎に教科書の全ユニット(Unit 1~11)を繰り返し扱っている。 図2-4はその五つのラウンドの枠組みである。 中学校 英語科教育 9 101 図2-4 横浜附属中の5ラウンドの枠組み (20) まずラウンド①ではリスニングのみによる本文の内容理解に迫り,ラウンド②ではラウンド①の音声を通してある程度理解したストーリーを単語や文といった文字と一致させる。音で理解し,音と文字を一致させた後にラウンド③で音読を行い,その音読が表現活動につながるようにラウンド④で穴あき音読の指導を行う。そして最後にラウンド⑤で教科書のストーリーを用いてリテリング(教科書本文の再生)での表現活動を行うという流れである。 このようなラウンド制の授業展開は,言語形式よりもまずは意味内容に焦点をあて,受容領域から発信領域へのスムーズな移行が可能になるカリキュラムであり,大いに参考にできる。これを参考にしつつ,指導の流れを作成した。 図2-5は本研究の一つのユニットにおける指導の流れである。 ユニット を通して一 つのトピッ クのもとス トーリーが 展開される図2-5 本研究の単元における授業の流れ 教科書の特性を生かし,Part 1からPart 4までをそれぞれ分けて指導するのではなく,まずは「聞くこと」のラウンドで四つのパートを通した言語活動を展開し,「読むこと」「話すこと」「書くこと」のそれぞれのラウンドにおいても同じ流れで授業を展開していく。このように各領域をラウンドとして位置付け, 段階を追って関連付けながら,全パートをつなぐことによって,生徒の思考もつなげることが可能になると考える。 ②ユニットラウンド制における言語活動 図2-6はユニットラウンド制における各ラウンドで行う言語活動である。 図2-6 各ラウンドの言語活動 「聞くこと」のラウンドから始め,「書くこと」
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