001総教C030705H30西村最終稿
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本研究のテーマにある,科学的な思考力・判断力・表現力等の育成に向け,子どもが問題解決に向かう学習活動をすることが大切だと考える。子どもが問題解決に向かうために,次の3つの方策により研究テーマに迫りたいと考える。 これら3つの方策により,科学的な思考力・判断 図2-2 本研究の構想 等が活用できる言語活動を用いた問題解決の学習活動を経ることが大切である。図2-1は言語活動を用いた問題解決の学習活動の過程を示したものである。 図2-1の中心にある「観察・実験」の前後に得た知識等が活用できる言語活動を適切に位置づけた学習を展開していくことで,科学的な思考力・判断力・表現力等を育み,科学的な概念の形成へと導いていけるのである。理科の学習はこの問題解決の学習活動を基本として展開していくが,この型にはめることが目的ではなく,この学習活動を通じて,子どもの関心・意欲を引き出しながら進めていくことが大切である。 第2節 研究仮説と本研究の構想 ①教師の効果的な問いかけにより,子どもの対話的な学びを促す。 ②事実や証拠,事実や証拠の解釈の関係を明確にした授業を行う。 ③より思考を深めたり広げたりするために学んだことを適用させる場の設定をする。 力・表現力等の育成が期待できると考える。 加えて,単元末に指導の効果を見取っていくことで,科学的な思考力・判断力・表現力等の育成が見られたかや,結果をもとに授業改善や子どもへのフィードバックすることにより,次の単元の学習へつなげていくことができると考える。 このような学びや見取りをくり返していくことで,科学的な思考力・判断力・表現力等の高まりが可能となるだろう。これらの本研究の構想を,右図2-2に示す。 第3節 研究の方策 (1)指導者の問いかけと対話的な学び 小学校 理科教育 5 理科における問題解決の学習活動を展開していく上で,自然事象への働きかけから問題の把握・設定する過程は大切である。なぜなら,子どもが問題を把握し,解決したいという思いがもてなければ,その後の学習活動で主体的に考えていくことができにくくなるからである。そのため,問題の把握・設定に至る過程で,指導者が効果的な問いかけを発することで,子どもたちは事象と向き合い教材と対話するようになると考える。さらに,既習内容や生活経験と事象を比較し,自分自身との対話により不思議に感じたり疑問を抱いたりする中で問題意識の醸成が期待できる。その結果,問題解決の学習活動に主体的に参加し,解決していく過程の中で科学的なきまりや性質等を理解したり,活用したりすることにつながっていく。このように,問題意識を醸成するために対話的な学びを促すための効果的な指導者の問いかけは必要不可欠である。ここで言う問いかけは,学習問題や子どもへの発問,質問などである。 このような問題意識を醸成する場面では,対話的な学びを促すことが重要である。では,対話的な学びを促す効果的な指導者の問いかけとはどのようなものであろうか。その1つに,学習内容の系統性を意識して問いかけることがあると考える。例えば,ものの溶け方(5年)の学習を水溶液の性質(6年)における気体の溶けた水溶液がある学習で活かすことを考えてみる。この学習の出合いの場面において,単に炭酸水を提示し,「何が溶けているだろう」と問いかけても,「解決してみたい」という必然性や強い思いは生まれない。そこで,5年生の学習で学んだことを確かめる問いかけをする。食塩水やホウ酸水などを想起させ,「水溶液とはどのような液体だったか」を問うことで「何かもの(固体)が溶けている液体」という考えを学151 図2-1 問題解決の学習活動の過程(13)

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