001総教C030705H30西村最終稿
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子どもの思考の流れに沿うとともに,既習事項を活かせると考えた。本単元でよく行われる事象提示として,ペットボトルやフラスコに栓をし,お湯で温めて飛ばすものがある。このとき,「何が」「どのように」栓を飛ばしたのかを問題として設定していくが,栓が飛ぶ瞬間は一瞬の出来事であり,子どもにとって何が起こったか分かりにくいことや,事象そのものの驚きが印象的になり「面白かった」というだけに陥りやすい。そのため,問題意識の醸成が難しくなり,指導者が一方的に問題を設定するという場面も少なくない。そこで,本実践における単元配列を図3-1に示す。 図3-1のように,「ものの温まり方」の学習後に本単元を設定した。「ものの温まり方」では,「温められた空気や水は上に上がる」という性質を学んでいる。このことを活かしながら,本単元の出合いの場面を設定し,その性質では説明できない事象を最後に提示することで,問題意識の醸成を高めることをねらった。 イ 自然の事物・現象との出合い 授業の実際では,フラスコに空気と水を入れて栓をした実験道具を提示し,「栓を飛ばすにはどうすればよいだろうか」と問かけた。この問いかけにより,子どもたちは教材と向き合い,その中から空気に着目することができた。前単元の「ものの温まり方」の学習を活かし,「空気を温めたらよい」という予想が返ってきた。そこで,実際に温めて,栓が飛ぶ様子を観察させ,「どうして栓が飛んだのだろう」と栓が飛ぶ原因を考える問いかけを行った。これは,自身との対話により,既習内容とこの授業の事象をつなげるためである。この問いかけに対し,多くのの子どもが「空気は温めたら上に上がる性質があるから,温まった空気が上に上がって栓を押した」という解答をした。このような発言は指導者の問いかけにより子どもが自身との対話を行ったことで,事象と既習内容が結び付いた結果である。これらのやり取りから指導者の問いかけにより教材や自身との対話を促し,思考を結び付けたといえる。 とじこめた空気と水 ものの温まり方 ものの温度と体積 すがたを変える水 小学校 理科教育 9 155 図3-1 本実践における関連単元の配列 ウ ゆさぶる問いかけ 子どもの意見を聞いた後,「フラスコを横向きや下向きにしても飛ぶかな」とゆさぶる問いかけを行った。これにより再び教材や自身との対話をするようになると推測する。子どもたちは,空気が温められて上に上がることで,栓が押されて飛んだと思っているため,横向きや下向きにした場合は,飛ばないと考えると想定していた。実際には,横向きなら飛ぶと予想した子が学級の約半数。下向きにして飛ぶと考えた子は学級の3分の1以下になった。実際に,横向きや下向きにして飛ぶ様子を観察すると,子どもたちは自分たちの予想とのギャップに驚いたり,不思議に感じたりしていた。「なぜ飛ぶのかな」といったつぶやきが多く聞こえた。そこで,指導者が改めて「どの方向でも栓は飛んだけれど,どうしてかな」と問いかけた。子どもたちは,「空気が関係していると思う」と要因を推測はできるけれど,うまく説明できない曖昧な状態に気付くことができた。これにより,「温めた空気に何が起こったのだろう」という問題意識を醸成することができた。 (2)第5学年「流れる水のはたらき」 ~自身・他者との対話に重点を置いた実践~ ア 導入時のねらい この単元は,観察や実験を通し,流れる水の速さや量による働きの違いを調べ,流れる水の働きと土地の変化の関係についての考えをもつことができるようにしていく。B校の校区には川が流れているが,子どもたちは意識して川の様子を見たことがほとんどないため,出合いの場面では,川の様子について視点をもって見ることから始めるようにした。そうすることで,ただ水が流れているだけでなく,周りの様子や水の流れる様子の違いを意識できると考えたからである。さらに,流れる水には何らかの働きがあるのではないかという問題意識を醸成する視点から,平常時の川の様子と増水時の川の様子を比べるようにした。 イ 自然の事物・現象との出合い 授業の実際では,身近な川の上流から下流にかけての写真を提示し,「川の様子についてどのような違いがありますか」と問いかけることで,教材との対話を促した。子どもたちは,提示された資料を比較し,川幅や川原にある石の大きさや形,流れる水の速さなどの様々な違いに気づき,教材との対話を通し,川を観察するときの視点を見付

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