学級活動は,三つの内容に分かれていて,下線部は学級活動(1)の「学級や学校における生活づくりへの参画」を示している。また,二重下線部は,学級活動(2)の「日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全」と学級活動(3)の「一人一人のキャリア形成と自己実現」を示している。 40 の総体」(2)と述べている。これらから考えて,教員にとって,学級目標は,学校教育目標を実現させるという目的のための道標であると言えるだろう。つまり,児童に学級目標を目指させることを通して,学年目標や学校教育目標の実現に向かうということである。また,学級みんなで同じゴールを目指し切磋琢磨することは学級集団づくりにおいて大切であり,ゴールにあたるのが学級目標だろう。 では,どのように学級目標を設定すればよいのだろうか。学級目標設定の在り方やそれを形骸化させないようにするための工夫について整理していく。 学級開きの前に,学校教育目標実現の内容を理解し,実現に向けて学年として,学級として,どのような目標が必要かを事前に学年担当で共通理解しておく。それらから考えたことを基に,学級担任として学級の目指すべき方向を児童に示した上で,児童と共に学級目標を設定することが大切であろう。これが,実現に向かう動機付けとなると考える。学年の発達段階のよっては,教員の示したものがそのまま目標になることもあるだろうが,その際も,児童が目指したいと思うことができる学級目標になるよう工夫する必要があると考える。 また,学級目標が,振返り可能な具体的な内容になっていることも必要だと考える。抽象的なものになっていると,児童によって達成できたかどうかの基準が曖昧になり,児童自身に達成を実感させていくのは難しい。学級目標を具体化するために,下位目標で表現する工夫が必要である。例えば,「元気いっぱい」という目標は,「休み時間1度は外で遊ぶ」や「授業中全員に聞こえる声で発表する」などの下位目標で具体化する。その下位目標の達成を積み重ねていくことで,抽象的な上位目標(学級目標)の達成を実感させていくというものである。また,この下位目標は年に何度か振り返りながらその時の児童に必要なものに変えていくことが有効である。 右頁,図1-7は学級目標達成に向けた1年間の流れの例である。 図1-7のように,年に何度か振り返る機会を設定し,その時の学級の実態に応じた具体的な下位目標を設定することが有効だと考える。学級の実態を見取る際,学級や生活に関する児童アンケートなどの客観的な資料を用い,学級全体としてだけではなく,一人一人の実態を把握し,目標を修正 改善していくことでより実現に近づくことができ るだろう。そして,年間を通しいつ振返りを行っていくのかを年度当初にある程度考えておくと,計画的な学級集団づくりが可能となるであろう。 さらに,学級目標達成に向けて具体的に自分はどんなことをしていくのか個人の目標を自分で決めることが必要だと考える。そして,個々の目標を達成させていくことが学級目標達成につながるということを児童が実感できるような工夫をすることが大切である。具体的な内容については,第3章で述べる。そうすることにより,自分は学級の一員であり,一人一人のがんばりが学級をよりよくするという意識につながる。 (3)学級活動の目標と内容 新学習指導要領特別活動編では,学級活動の目標を次のように示している。 学級や学校での生活をよりよくするための課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成し,役割を分担して協力して実践したり,学級での話合いを生かして自己の課題の解決及び将来の生き方を描くために意思決定して実践したりすることに,自主的,実践的に取り組むことを通して,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。 新学習指導要領解説特別活動編では,学級活動(1)について「主として自発的,自治的な集団活動の計画や運営に関わるものであり,教師の適切な(下線は筆者による)(3) 図1-7 学級目標達成に向けた1年間の流れの例 小学校 特別活動 4
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