これらの要因は,経験の少ない採用5年目教員ゆえであったのかもしれないが,指導の仕方を学んでいくことで改善されていくのではないだろうか。さらに,この結果を低・中・高学年に分けて分析すると,低学年では「児童の実態上」が一番多く,「あまりとらなかった」と回答した低学年の教員8人のうち5人だった。そして高学年では,「時間のなさ」や「指導の仕方の分からなさ」と回答した教員が9人のうち5人だった。 (2)学級目標の意義と設定の在り方 2-図1-4 どのような働きかけを行ったか 図1-5 学級会の時間をとったか 「年間計画に基づいて定期的にとった」と回答またしないようにどのような取組をしているのか調査を行った。まずは,「児童が学級目標を意識して活動に取り組むことができるように働きかけを行いましたか」という設問を行った。全体の90%にあたる84名が「働きかけを行った」と答えた。 では,具体的にどのような働きかけを行っているのだろうか。図1-4は「働きかけを行った」と答えた84名を対象に,複数回答で「どのような働きかけを行ったか」を尋ねた結果である。 図1-4のように「学級目標に沿った行動をした際に褒めるなどの声かけをした」「学級目標に関する掲示物を作り,意識できるように声をかけた」の項目が半数を上回った。「学級目標の具体的な指標(達成するための具体的な姿等)を作って児童と共有し,振り返る時間をとった」と答えた教員は,全体の35%の29人に留まった。しかし,どれだけ学級目標に到達できているのか振り返る時間を設定しなければ形骸化してしまうのではないだろうか。 次に,学級活動についての調査である。図1-5は,「『学級や学校での生活をよりよくするための課題』を解決する話合い活動(学級会)の時間をとりましたか」という設問に対する5年目教員の回答である。 した教員は,12人と全体の13%に留まった。「定期的ではないがとった」という教員が一番多く全体の57%になった。 図1-6は,学級会の時間を「あまりとらなかった」と回答した22人に,複数回答でその理由を尋ねた結果である。 調査より,学級目標の設定の在り方を整理し,形骸化しないような取組について考えていく必要性を感じた。そこで,改めて学級目標の意義や設定の在り方について考えてみることとした。 赤坂は,学級目標の意義について,目標と目的の違いから以下のように述べている。 「教師の学級を育てる戦略」とは,学級経営のことであると捉えられる。白松は学級経営について「学級経営は,学校の教育目標を達成するために行う学級での様々な指導や教育活動の条件整備目的は,最終的に目指すべきゴールです。目標は,それを達成するための道標です。つまり,学級目標とは,子どもにとっては目的的な役割をもちますが,教師にとってはあくまでも目標なのです。(中略)学級目標を達成することが学級づくりのゴールではないのです。学級目標は,教師の学級を育てる戦略の中にしたたかに位置づけられるものです。(1) 39 図1-6 学級会の時間をあまりとらなかった理由 小学校 特別活動 3
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