001総教C030705H30中澤最終稿
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回答を選んだ。研究協力員の方は活動の始めには必ず,自分のめあてを確かめる時間をとられていたこともあり,実際に児童の振返りの記述にも,自分のめあてに関する内容が多くあった。 図4-4は,活動のそれぞれの時間で自分のめあてをどれだけ達成することができたのかを表したものである。 第3章で述べたように,本番直前でやや達成度が下がったが,全体的には徐々に上がり,本番では全員が肯定的な項目を選んでいることが分かる。ここから,児童が自分のめあてに向かう気持ちがどんどんと向上していたことが分かる。これらが,次の活動の原動力となったと考える。 また「学級わくわく大作戦」のめあてである「一人一人がかがやき,みんなで協力して楽しむフェスティバルにしよう」が達成できたかでは,全員 が肯定的な回答であった。実際「一人一人がかがやき」に関しては,学級の役割と学年の役割の両方を担ったことで,活躍の場が広がったことや,さらにはその活躍の姿をたくさんの教職員の方に共感してもらえたことでとてもよい表情で活動することができていた。また「みんなで協力し」に関しては,話合い活動でみんなで意見を出し合いながら合意形成に至ったこと,声を掛け合い休み時間を利用して一生懸命準備をしていたこと,お客さんが楽しんでくれるようにグループでいろいろな工夫をしたことなど様々な場面での協力が見られた。「楽しむ」に関しては,フェスティバルは成功したと全員が答えていたということからも児童が楽しかったと感じていることが見取れた。これらのことから,目標の達成はできていたのではないかと考える。B校の学級目標である「思いやり・笑顔いっぱい・成長~高め合い楽しく学ぶ」にもつながっていると考えられる。さらに,B校での取組は学年での取組であったため,学年目標の「一致団結~協力・友情・挑戦」を意識してい小学校 特別活動 23 た。「学級わくわく大作戦」はこれらを目指すための1つのアプローチであったが,実践での児童の様子や意識から,これらの実現に少し近づけたのではないかと考える。 本研究では,児童が未来を力強く生き抜くために「主体性」や「社会性」を育むことを目指してきた。実践では,両校とも児童は自分のよさを生かし合いながら,協力して活動する姿が見られた。特に話合い活動では,自分の思いを伝えなければ話合いが成立しないことやそれと同時に,自分の思いを通すだけではうまくいかない経験をすることで「自分は自分である」意識と「自分は自分たちである」意識を両方大切にしながら活動ができていたと感じる。このような経験をする過程で,児童の「主体性」や「社会性」が育まれていくと考える。 第2節 「学級わくわく大作戦」を通して (1)学級活動を中心とした学級集団づくり 本研究では,児童の「わくわく感」を醸成するものとして学級活動(1)集会活動を取り入れた。集会活動の内容が児童にとって取り組みたいものになっていたため,児童はやる気をもって活動に取り組むことができていた。そしてその「やる気」が児童による自治的な活動へと結びついたと考える。両校共に話合い活動においては,意見の対立を経て合意形成に至ることができた。そして決めたことを実践するために,時間をうまく使いながら児童同士で声を掛け合い準備する姿が見られた。また,実践においても「みんな」が楽しむことができるよう工夫し,取り組むことができていた。もちろん,すべての活動がスムーズに進んだわけではなかったが,振返りでは「けんかもあったけれどみんなで意見を言い合えたのがよいと思った」と書いている児童がいた。児童同士の関わりが多い活動であるからこそトラブルがつきものである。実際にA校では,集会活動直前に,同じお店グループ内で児童同士の言い争いがあった。しかし,実際の集会活動では,どちらの児童も楽しそうに一生懸命取り組むことができ,その後の振返りではお互いのよいところを書いて渡し合うといった姿が見られた。より楽しいものに,よりみんなに喜んでもらえるようにと思えば思うからこそ起きた言い争いである。このようなトラブルこそが児童の人間関係形成の能力を磨くものであると考える。児童同士の関わり合いの機会が多いにある学級活動(1)は,集団づくりに有効な時59 図4-4 活動ごとのめあてに対する自己評価 B校

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