図4-1 成功したと思った理由 図4-2 活動ごとのめあてに対する自己評価 A校 第1節 学級目標実現に向けて (15) 京都市教育委員会「京都市立小学校教育課程指導計画 特別の教科 道徳5年」 P.28 2016 (16) 京都市教育委員会「京都市立小学校教育課程指導計画 体育 保健」『心の健康』2015. あった。自分の思いだけを伝えるというだけではうまくいかず,対立すると嫌な気持ちになることもあるが,それを経験しうまく折り合いをつけた経験が「相手の気持ちを考えて行動している」という自信につながったのだろう。さらには,お店を開く際に相手が喜ぶ工夫を考えた経験もこの結果の要因の一つと考える。 「学校が楽しい」に対して,肯定的な意見を選んだ児童も増えていることが分かる。もちろん「学級わくわく大作戦」の活動だけが要因ではないだろうが,それも一つの要因だろう。研究協力員の方から,学校を遅刻しがちだった児童が「学級わくわく大作戦」の活動が始まってから遅刻がなくなったという報告があった。集会活動に向けた話合い活動や友達と協力しての準備等,児童同士のつながりが強くなり「わくわく」感のある毎日になったのではないかと推測できる。 このように,活動前後での児童の見取りをきちんと行うことで,学級集団づくりの次のステップに向けた新たな課題を見つけることにつながると考える。 「学級わくわく大作戦」は,学級集団づくりの作戦であり,学級目標実現に向けた取組である。そこで取組を通して学級目標実現に向かうことができたかどうか検証していく。各校目標が違うので,それぞれ別々に検証した。 (1)A校について 両校とも集会活動後に,児童に活動に関する調査を行った。A校では「わたしは,オータムフェスタは成功したと思う」という問いに対する回答は「そう思う」が83%「まあ思う」が17%と,全員が肯定的な意見を選択していた。次頁,図4-1は,成功した理由の中の頻出度の高い言葉を抽出したものである。円の大きい部分は,頻出度の高い言葉であり,線が太いものは強い共起関係があ 小学校 特別活動 21 るということである。 「みんな」という言葉が一番多く「楽しい」「わくわく」「笑顔」という言葉も多かった。「みんなで協力できた」「みんなが楽しんで活動をしていた」「けんかがなかった」ことが成功の要因であったと述べる児童が多く,どれも他の人との関わりが関係している。これは,本研究が目指している「社会性」にあたると考える。また,それと同時に,「自分」「役割」「果たせる」というように自分が役割を果たすことが要因だと考える児童がいることが分かる。これは「主体性」にあたる。 では,集会活動を成功させるための自分のめあてはどうだろうか。「わたしは,自分のめあてを達成できるように取り組んだと思う」という質問事項に対して,95%以上の児童が肯定的な回答をしており,意識し取り組んできたことが分かる。 図4-2は,活動毎の後の振り返りの際,自分のめあてをどれだけ達成できたかを自己評価したものである。 57 第4章 研究の成果と課題
元のページ ../index.html#23