S:やった!2位や。先生!!(先生を呼ぶ) T:(急いでSに近づいて)どうしたの。 S:先生,ぼく2位やった! 52 図3-15 児童へのメッセージ 図3-16 準備場所決定の様子 GAKKYU また,準備を行う場所についても児童が自分で決めて行えるような工夫があった。図3-16は,その時の様子である。 グループごとに準備しやすい場所を選んでいき黒板に表わしていた。もちろん,準備を始めて自由に動く方法もあるが,みんなで決めていくことで安全性も確保できるだろう。また,決まった場所を視覚的に表す工夫がされたことで,その後の移動時間の短縮にもつながった。 児童の役割についても,自分で決めて担っていくことがやる気の向上につながると考える。一方でいろいろな児童に活躍の場があることも個々の自己有用感の高まりにつながると考える。役割を決める際,全て児童の意思決定に委ねていくと積極的に取り組む児童に役割が偏ってしまうことはよくあることである。集会活動当日の司会進行やタイムキーパーなどの役割を決める際も同じような傾向が見られたので,研究協力員の方が児童の意欲を喚起するような声かけをされた。以下は,研究協力員と児童のやりとりである。 T: タイムキーパーは誰がしますか。 S1:(手を挙げる) T : S1さんにお願いしますか。S1さんは,議長もがんばってくれていたから,他の人も たくさん活躍してほしいな。 S2: (小さく手を挙げる) T: あっS2さん。いいですね。 S2さん,お願いします! その時のS2の様子を観察していると,仕事の内容を聞き,少しやる気になっているようだったが,手を挙げるのに躊躇していたところ,S1が立候補したので,あきらめたようだった。しかし,研究協力員の方の声かけによりやってみようと勇気が湧いたと考えられる。これは,研究協力員が普段より児童理解をしっかり行われていたために,些細な変化に即座に気づく洞察力となり,それがS2の活躍の場を広げることにつながったと考えられる。実際,集会活動では,S2はやる気をもって自分の役割を果たそうとする姿が見られ,その後の感想にも自分の役割をしっかり果たせたことへの喜びを表す記述があった。 (4)集会活動 集会活動の実践の際は,教員が一緒に活動を楽しむ姿を見せたり,一人一人に共感的な声をかけたりすることが活動をより充実感のあるものにするだろう。この活動では,実践の中で見られた研究協力員の方やその他の教職員の方々の共感的な関わりについて報告していく。 前述のように,A校では児童のいろいろな側面が見られ,お互いに認め合うことのできるようなオリンピック形式のお店をグループで出すこととなった。また,活動の後にはメダル授与式を行うことを話合いで決定した。図3-17は,集会活動の際の児童の様子である。 図3-17 集会活動実践風景 新記録が出ると声をあげて喜ぶ児童や,お互いの活躍をたたえ合う姿が見られ,児童の認め合いの場となった。また,種目に参加した児童と教員の中で次のようなやりとりがあった。 小学校 特別活動 16
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