001総教C030705H30中澤最終稿
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いない焦りからだね。でも,それは今日の準 備の時間が予定より少し短くなってしまった から計画がくるってしまったこともあるね。 ごめんね。でも,どのグループも今でもお店 を開けるくらい十分準備はできているから, 焦る必要はないよ。 もちろん,児童の見通しが甘く,うまく時間を使えなかったことも要因であるが,それを叱るというのではなく,不安な気持ちに共感し,準備の時間がやや短くなってしまったことについて謝罪をしているところが大切だろう。児童はこれを聞き,それ以降の休み時間をうまく利用しながら残りの準備を進んで行う姿が見られた。このように,児童の気持ちに寄り添い,人間的な触れ合いをすることで,児童のやる気を高めることができる。 50 図3-12 わたしはだれでしょうワークシート 両校共に行ったが,児童の実態に応じ定型文をつくりかえて実践を行った。自分のことを自分で書き,それを日直が名前を伏せて読み,誰のことを言っているのかをあてていくクイズ形式で行った。「わたしは,○○です」のように,他の児童に知ってもらいたいことを自分自身で考える欄をつくった。さらに「先生から見て,わたしは○○です」という欄を設け,教員が児童のよいところを認めていく機会とした。友達に自分のことをよく知ってもらうことも自己存在感の高まりにつながると考えるが,教員によいところを認めてもらうことでそれはさらに高まると考える。また,自分また,学級の友達のよいところに目を向けることを続けていくことで,学級に親和的なつながりができ,活動のやる気につながっていくと考え,朝の会を使って「わたしはだれでしょう」という活動を行った。図3-12は,その際に使ったワークシートである。 小学校 特別活動 14 で書いたものを読んでもらうことで「わくわく」感が高まるが,教員の書いた文章を聞くことでさらなる「わくわく」感の向上につながると考え行った。 活動の中で,日直が「得意なこと」を読み上げているのを聞いて「○○さんじゃないかな」「○○さんも得意やな」と口々にそのよさをもった人は誰かと推察する意見が出てきた。このように推察する様子は,とても温和な雰囲気で,よいところを認め合う学級集団へと高まった。また,児童の意外な一面を知り,それについて興味をもった他の児童から質問が出ることもあった。紹介してもらっている児童の表情はみんなうれしそうで,自分を知ってもらうことに喜びを感じているようだった。その様子に自然と拍手を送る児童の姿が見られた。また,教員からの文章は,紹介してもらう児童だけではなく,それ以外の児童にとっても楽しみになっているようで「なるほど」や「先生,それ分かる」と同意しながら聞いている様子があった。教員から児童へと共感的な人間関係が広がっていったと考える。 (2)話合い活動 話合い活動では,意見の対立を経て児童の力で合意形成に至る過程が重要である。しかし,限られた時間の中でまとめ切ることも大切と考え,その支援となるよう道徳科の学びを生かすことにした。A校では,相互理解,寛容の内容項目の「すれちがい」(15)という教材を用いた。そして「自分と異なる意見や立場を受け入れて,尊重しようとする態度を養う」学びが話合い活動に生きると考え取り入れた。 話合い活動では,具体的なお店の内容や準備を進めるグループ決めを行った。両校共に,話合い活動の経験が少ないことから,司会進行グループの打ち合わせ時間をたくさんとり,自信をもって進行できるようにした。また,進行の支援となるような話合いの進め方シートを活用した。次頁,図3-13は,その際に使った話合いシートである。 このようなものを用いることにより,話合いの仕方を学ぶということに重点をおくのではなく,自分たちで決めていくということに重点をおきながら進行できると考えた。両校共に,実際の話合い活動では,たくさんの意見をまとめていく糸口を見つけるのが難しく,司会進行に困惑する姿が見られた。そこで,児童の合意形成を促すために,教員がフェスティバルのめあてに返る声かけを行

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