表2-3 計画シート GAKKYU 一番左が児童の活動の流れを表したものである。これらの活動の中で予想される児童の姿を思い描き,どのような活動にしていくことがやる気の向上につながっていくかを考え計画していく。まずは,学級活動とそれ以外の時間とをどのように関連付けていくことが有効かを考え計画を行った。例えば,集会活動に向けての準備で,粘り強く最後までやりきることができない児童いることが予想できるので,道徳科の学びを生かすことを考えた。次に,児童のやる気を維持し高めるための3つの視点を活動にどのように入れていくかを考えた。例えば,児童の活動の中のどの場面で児童の決定に委ねていくかや,それぞれの児童がどのような場面で活躍することができるかなどである。この計画シートも,必要に応じつけ足したり,内容を変えたりしていき,臨機応変に改良すればよいだろう。 (2)児童の活動中 「学級わくわく大作戦」における児童の活動の中心は集会活動実践に向けた集団活動である。児童の活動中,教員は3つの視点を意識し関わることが児童のやる気を維持し高めるために大切だと考える。前述の表2-3「計画シート」の児童の活動の流れに沿って,その内容とやる気を維持し高める工夫を述べていく。 ①問題の発見・確認 児童が「学級わくわく大作戦」と出合う際には,「やってみたいな」「わくわくするな」と感じることがその後のやる気につながると考える。学級活動(1)は,本来児童が問題を設定しそれを議題として話合い活動等を行っていくものであるが,児童が今まで取り組んだことがなく,実態に応じた内容の集会活動をある程度具体的に提示することで,児童のやる気を引き出すことができると考え,教員側より提案していくこととする。今まで取り組んだことのないものに取り組むことで,児童の経験値が上がり「次はもっとこんなことがしてみたい」といった次への動機付けにもなると考えるためである。集会活動の内容を提示した後,児童が小学校 特別活動 9 見通しを持って活動できるようにするために具体的な活動の流れを示す。 次に,集会活動を成功させるために自分はどんなことをがんばっていけばよいか,個人のめあてを意思決定していく。それぞれが自分のめあての達成を目指すことが,集会活動の成功につながると感じることでやる気が高まると考える。そして,活動の終わりにワークシートを用いて自己評価し,それを教員が学級全体の達成度としてグラフに表わし可視化できるようにする。個々のがんばりが全体の達成度とつながることに気付くようにするためである。そこで,重要なのが,児童のやる気を向上させるための教員の共感的な声かけである。例えば,グラフを見て,全体の達成度が上がっていたら,「みんなの気持ちが一つになってきたのを感じるよ」や「一人一人のがんばりが結果につながっていて先生もうれしいよ」などである。下がっていても,マイナスに目を向けるのではなく,もっと上げていくためにはという視点で話をする方がよいと考える。また,チェックシートに教員からのコメントを入れたり,それを見て個々に声をかけたりして,児童のやる気を向上させていく。 ②話合い活動 話合い活動ではでは「自分たちで決めた」という意識を児童がもてるようにすることが,その後のやる気に直結すると考える。そこで,司会進行,書記等児童が役割を分担し,話合いを進めていくことが大切である。児童の実態に応じては,司会進行シートを活用したり,話合い活動の中で指導したりすることが必要になるだろう。また,決定していく際は,多数決のみに頼らない決定をしていくことが大切です。意見の対立を経て合意形成に至る過程で相手意識が育まれると考えるためです。児童による合意形成を目指すためにも,助言は必要最小限にし,最終的な決定は児童に委ねることが大切である。しかし,最終的な決定は児童の合意形成に委ねていくことが大切である。 ③準備 話合い活動の後,決まったことを基に,集会活動に向けた準備を行う。この活動は,児童同士の関わりが最も多く,集団づくりにおいてとても重要な時間である。それと同時に,やる気を保っていくのが難しい時間でもある。そこで児童の姿をある程度予測し,児童自身で声をかけあい準備を行えるように環境整備を行っていく。準備において活用できる時間や物,場所を提示することなどがそれにあたる。 45
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