J(Yの教科書を指して)「鍵側の視点やで,これ。」 K「鍵が人に例えられてんの?」 X「鍵のありかって?」 Y「これは鍵じゃないの?」 X「鍵の場所じゃないの?」 Y「鍵の…」 J「場所!?木の枝に無造作にぶら下がっていたり,土 K「鍵の気持ち!」Y「身をよじっていたって鍵の行動ち J「身をよじってぶら下がったりしてたん?」 Y「だから,ここだよーって。」 J「木の枝で?」 Y「知らんがなあー。」 X「目立つように。」 J「土の奥深くって目立つ?」 Y「光ってたやんか。」 K「光ってるやん!」 Y「見つけてもらうために。」 K「見つけてもらうために必死になっている。」 J・Y「ああ。」 J「どう書く?」 K「はしゃいでた。」 下線で示したように,次から次へと「問い」を生み出し,その「問い」自体が解決への手がかりになっていたり,「問い」について考えることで考えを深めていったり,言葉を吟味したりしていることが分かる。このように問いかけながら読みを深めていった授業の後に,なお自分が抱いている「問い」は何か,新たに抱いた「問い」は何か意識することで,次の授業も意欲的に取り組んでいくことができるのではないかと考えた。 130 の中に埋もれていたり…」 ゃうん?」 J・X・Y「いやいやいや…。」 Y「自分をアピール」 J「自己主張していた」 Y「ああ。」 K「いいよー。」 右上図2-1は実践で使用した自己評価シートである。 学習後に抱いている「問い」を書き出すことで, 自分の課題を意識することにもつながると考えた。 また,生徒の「問い」について教師が把握する 際に視点をもっていることが,自己評価シートを 生かしていくためには必要である。そこで,読み の過程に応じて「問い」を四つに分類し,生徒の 「問い」を把握する視点とした。 (下線は筆者による) 図2-1 自己評価シート Seito 表2-2 「読むこと」の学習における「問い」の分類 Seito 把握 ↓解釈↓ 形成 ①一つの答えが得られる「問い」(一問一答) ②本文に書いてあることを根拠として,ある程度、答えが絞れる「問い」 ③本文に書いてあることを根拠として,多様な答えが導き出される「問い」 ④書いていることを踏まえ,人それぞれの自分の考え方が答えに反映される「問い」 中学校 国語科教育 6 平成29年告示学習指導要領国語編には,〔思考力・判断力・表現力等〕の指導内容として「A話 すこと・聞くこと」「B書くこと」「C読むこと」の三つが記され,それぞれの学習過程も示されている(4)。本年度の実践は,昨年度同様「読むこと」の指導になるため,ここでは「読むこと」の過程について述べる。「読むこと」の学習過程は大きく①「内容・構造の把握」②「精査・解釈」③「考えの形成・共有」の三つに分けられており,この順番に学習も進んでいくのが通常であると考えられる。 表2-2は,読みの過程に応じて,「問い」を分類したものである。 読みの最初の過程である「内容・構造の把握」の段階では,語句の意味や登場人物像,概要に関わるより単純な「問い」が多いと予想され,それらの「問い」に対しては明確な答えが提示される。内容や構造が分かると,「なぜそう言えるのか」「なぜそのような言動をしたのか」と言った精査・解釈する「問い」が生まれてくる。そして,最終的 には「~とは一体何か」「わたしたちは何をすべき
元のページ ../index.html#8