001総教C030705H30河合最終稿
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中でどれだけ自分の頭を使って考えたかということを5段階で評価する欄である。「どれくらい」考えたかについて書くことで,「何を」考えたかという事についても書きやすく,考えたことを吟味できるのではないかと考えた。また,あくまで生徒の主観ではあるが,考えた内容と数値の関係など数値化することで教師も得られる情報があるのではないかと考えた。 (2)「問い」を意識する 今年度の研究では,前項で述べたことに加え,授業後に自分が解決できないことを意識することを挙げた。授業後に,自分の中で納得できていなかったり,引っかかっていたりするものは何か,あらためて言葉として書き残していくことで,次の学習へとつながっていくのではないかと考えた。実は,生徒たちの学ぶ姿を見ていて,自分自身や相手に問いかけるということが主体的に学んでいる姿の一つであると思い至ったことも,このように考えた理由である。その一例として,『鍵』という教材での実践における話合いの様子を以下に挙げる。 (『鍵』の学習:第四連が何を表現しているか) Y「鍵側が動いてんの?」 表2-1 仲間との対話の進め方 Seito 話ということになれば,討論に至るまでの各班での話合いにおいてもそれぞれの価値観が反映されやすく,新しい価値観を生み出す対話になるのではないかと考えている。 また,単元の最後に討論を取り入れることで,学習全体を通して「伝える・受け取る」という意識をより働かせた対話が可能になるのではないと考える。討論をする際には,何より相手に自分の考えを伝えなければならない。しかも,分かりやすくなければ伝わらず,伝えようとするうちに自分の考えも練られていく。さらに,反論することも必要なため,当然相手の考えをしっかりと受け取らなければならない。相手の考えを理解することなしに,「あなたは~と考えているようだけれど」などと反論することは不可能だからである。また,自分の考えを持ちやすいという利点もある。それは,討論において自分の考えをもつ際には,「AかB」という課題に対して自分の考えを示すことが多く,どちらか選ぶという形であれば,苦手な生徒も意思表示しやすい。課題設定や対話の方法に加えて,様々な対話の場面を想定し,その中から適した対話の場面を設定することも重要であると考える。 第2節 自己評価シートについて (1)学習の確認をする 目標に対して,自分はどうであったかと評価するということは,自分は今日の授業で何を学んだか考えるということでもある。そこで,一時間ごとの自己評価では,今日の授業で何を考えたかということについて記述をさせることが,自分の学習を評価することにつながるのではないかと考えた。目標に対してということであれば,考えたことという形ではなく,より目標を意識した文言にすべきかとも考えたが,生徒がどのような内容を記述するのか幅広く情報を得たいという研究の趣旨もあり,自由度の高い項目として設定した。また,一時間で考えたことを短く記述するということは,少なくも生徒がその授業で最も考えたと自分で感じている部分である。その内容が目標に沿っている場合もあれば,そうではない場合も考えられるが,目標と外れた記述があったとしても,なぜそのような記述になったのか教師自身が考えるきっかけが得られ,次の授業づくりに向けて有益な情報となるのではないかと考えた。 また,自己評価シートの一番上には,「考え度」という項目を設けている。これは,今日の授業の 中学校 国語科教育 5 129

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