001総教C030705H30河合最終稿
21/22

学習に取り組む態度」は「~(知識・技能や思考・判断・表現の内容を獲得)しようとしているかしていないか」を見取るということである。 では,「~しようとしている」ということをどのように見取るのかと考えたとき,先に挙げた文言にあった「粘り強い取組を行おうとしているか」ということと「自らの学習を調整しようとしているか」ということが鍵になることが分かる。粘り強さや学習を調整しようとする態度を見取ろうとしたとき,ノートや発言以上に,生徒の自己評価が有力な材料の一つとなるのではないかと考える。特に,学習を調整しようとしているかどうかについては,ノートやワークシートから見取ることも不可能ではないかと思うが,労力もかかる上,判断も非常に難しいと考える。そこで,今回実践した自己評価シートのような形が有効なのではないかと考える。 「粘り強く学習に取り組む態度」「自ら学習を調整しようとする態度」は,今回の自己評価シートの項目とした「考えたこと」と「問い」とつながりがあるのではないかと考えた。「問い」をもつということは考え続けるということでもあり,その結果考えたことからは,粘り強く取り組む態度が見えてくるのではないだろうか。また,「考えたこと」と「問い」を合わせてみることで,学習をどのように調整しようとしているかということも見えてくるのではないかと考える。その際,「問い」に関して,「粘り強さ」や「学習の調整」の前に「知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりすることに向けた」という文言が付随していることに留意する必要がある。つまり,少なからず表2-2で示したような「問い」の分類の視点をもって,教師側が生徒の「問い」を把握する必要があるということである。表2-2の①のような「問い」ばかりであるということは,深く考えずとも答えが得られるものばかりということであり,粘り強く考え続けたり,学習を調整したりすることにはつながりにくいからである。 右上図4-6は生徒L,右下図4-7は生徒Mの自己評価シートである。 まず,生徒Lの「問い」(下段)に注目すると,第1時から第4時まで,同じ内容の「問い」を抱いていることが分かる。生徒Lは終始,家来として魅力的なのは直実であるという考えをもち続けているが,「家来」としての立場を考えたときに,果たして本当に魅力的だと言えるのか問い続けて いる。そして,上段の「考えたこと」を見ると, 図4-6 生徒Lの自己評価シート Seito その問 いに反論するかのように,直実が魅力的だとする根拠と理由を模索していることが伺える。このように,同じ「問い」について,少しずつ角度を変えながら読む姿は,粘り強さの表れであると同時に,自分で調整しようとしてい 中学校 国語科教育 19 143 図4-7 生徒Mの自己評価シート Seito

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る