おける記述,授業中の発言,教師による行動観察や,児 童生徒による自己評価や相互評価等の状況を教師が評価 を行う際に考慮しながら評価を行う必要がある。(中略) ノートにおける特定の記述などを取り出して,他の観点 から切り離して…(中略)評価することは適切ではない。 ○発達段階に照らし合わせた場合には,児童自ら目標を 立てるなど学習を調整する姿が顕著にみられるようにな るのは,一般に抽象的な思考力が高まる小学校高学年以 降からであるとの指摘もあり,児童自ら学習を調整する 姿を見取ることが困難な場合もあり得る。 (下線は筆者による) 「知識・技能」「思考・判断・表現」が「~でき るかどうか」を見取るものであれば,「主体的に 142 図4-5 各教科における評価の基本構造 しかし,個人内評価と観点別評価の「国語への 関心・意欲・態度」は分けて考える必要があるの は事実である。 図4-5は,中央教育審議会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」において示されている,各教科における評価の基本構造である(6)。(一部筆者編集) 生徒個々の伸長や頑張りは,個人内評価の部分Seito であり,評価の観点における主体性とは分けて考 える必要があることが分かる。今回の自己評価が目標に対してのものだと考えると,上図の「主体的に学習に取り組む態度」との関わりが大きいと考えられる。中央教育審議会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」において「主体的に学習に取り組む態度」について以下のように記されている(7)。 ○具体的な評価の方法としては,ノートやレポート等にこれまでもノートや発言などを評価の材料としてきた教師は多いのでないかと考える。本市国語 科教員へのアンケートにおいても,ほぼ全ての教員がノートの記述と回答しており,これまでも記述をもとに「国語への関心・意欲・態度」を評価してきたことが多いと考えられる。その多くが自分の考えについてどのように記述しているかによ って判断するというものであったが,他の評価の 観点とのつながりも見えてくるからであろう。 一方で,生徒の自己評価を材料としていると回答した教員は,ほぼいなかった。筆者自身,自己評価を「国語への関心・意欲・態度」の評価材料として入れたことはない。それは,あくまで生徒の主観による自己評価を評価材料とすることに難しさを感じていたためである。しかし,材料の一つとして自己評価が明記されていることを考えると,今後「主体的に学習に取り組む態度」の評価材料として,生徒の自己評価や相互評価が大きな役割を果たすことになると考えられ,発達段階から見ても中学校でこそ求められる部分である。それは,「主体的な学習に取り組む態度」を見取る二つの視点が,自己評価に関わるものであることからも言えることである。中央教育審議会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」には,以下のように記されている (8)。 また,髙木は,中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会「児童生徒の学習評価の在り方(報告)」(平成22年)にある「主体的に取り組む態度は,(中略)他の観点に係る資質や能力の定着に密接に関係する重要な要素」という文言に注目し,以下のように述べている(9)。 ○「主体的に学習に取り組む態度」については,「①知 識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を 身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうと している側面と,②①の粘り強い取組の中で,自らの学 習を調整しようとしている側面という二つの側面が求め られる。」とされている。 ○これら①②の姿は実際の教科等の学びの中では別々で はなく相互に関わり合いながら立ち現れるものと考えら れる。例えば,自らの学習を全く調整しようとせず粘り 強く取り組み続ける姿や,粘り強さが全くない中での自らの学習を調整する姿は一般的ではない。(下線は筆者) (前略)「主体的に学習に取り組む態度」の評価内容は, 学習対象とする単元の中の「知識・技能」「思考・判断・ 表現」のうち,その単元の最重要とされる内容を,「主 体的に学習に取り組む態度」として,そのまま倒し込む (コピー&ペーストする)ことになる。(中略)「主体 的に学習に取り組む態度」の評価内容は,先にも述べた ように,「知識・技能」「思考・判断・表現」の内容の うち,重要な要素を引用し「~しようとしたりしている。」 と表現する。 (下線は筆者による) 中学校 国語科教育 18
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