図4-2 児童質問紙調査回答結果② 28 小学校 学習指導法 24 では,実際に子どもたちは見方・考え方を十分適切に働かせて調べたり考えたりすることはできていたのであろうか。子どもたちのノートの記述などを基に,子どもたちが見方・考え方を適切に働かせることができていたかどうかを分析した結果を図4-4に示す。 図4-4 子どもの変容分析 A校B校いずれの学校の子どもたちも,実践当初は見方・考え方を十分に働かせて調べたり考えたりすることができた子どもの割合が少なかったが,実践後はその割合が大幅に増加していることが明らかとなった。子どもたちが実感しているだけではなく,実際に見方・考え方を十分に働かせて考えることができていたということができる。見方・考え方シートの配布や授業の発問を二段階に設定したことで,教師・子どもの両者がそれぞれ見方・考え方を働かせることができる土台を整えることができたことは,基礎的な探究における習得aと活用aのサイクルの充実につながっていったと考えられる。 (2)対話的な学びの充実 図4-5は自分たちの対話を可視化し,よりよい対話の在り方について考え,対話の重要性を考えた学習についての質問の回答である。 図4-5 児童質問紙調査回答結果④ 9割以上の子どもたちがこの学習を通じて自分たちの対話の実態をとらえ,質の高い対話を目指比較したり関連付けたりしながら考えていると答えた子どもの割合が大きく増えている。A校B校のいずれにおいても半数以上の子どもが「とてもそう思う」を回答しており,授業の中で見方・考え方を働かせることができたと実感していたと考えられる。初めはどのように見方・考え方を働かせたらよいかわからなかった子どもたちが,見方・考え方シートを使用したことで,どのように調べたらよいか,さらにそこからどのように考えを働かせたらよいのかを理解することができ,授業の中で実際に働かせることができた結果であると考える。実践の終盤で見方・考え方シートを使用する子どもの姿が少なくなっていったのは,子どもたちが見方・考え方をどのように働かせるのかを理解したことによるものだと考えられる。 図4-3は教師の見方・考え方を働かせるための問いについて質問した回答結果である。 図4-3 児童質問紙調査回答結果③ 実践前でも比較的多くの子どもが肯定的な回答をしていたが,実践後はさらに肯定的な回答をした子どもが増えているのがわかる。社会的事象の事実をとらえる場面と,それを基に社会的事象の意味について考える場面の二段階に分けて発問を構成したことで,子どもたちはどのような視点に着目して調べたり考えたりしたらいいのかがより明確になっていった結果と考えられる。
元のページ ../index.html#26